東京都江戸川区で金塊の搬送業者を狙う目的で軍手を所持していたとして、警視庁小岩署は5月29日、強盗予備の疑いで職業不詳の男性(20)ら2人を逮捕したと、共同通信が報じた。
この近くでは当時、金塊の搬送業者が車への積み込み作業中だったといい、警視庁は2人の間に面識がないことなどから、匿名・流動型犯罪グループ(匿流)による事件とみて調べているという。
「高額バイト」をうたうSNSの投稿に乗り、気づけば犯罪グループの末端になってしまう。若者が強盗を「やろうとしただけ」で逮捕される事態が相次いでいる。
5月24日にも東京都小金井市の民家周辺で、マイナスドライバーなどを所持していた2人が強盗予備容疑で現行犯逮捕されており、うち1人はX(旧ツイッター)の投稿に応募したと供述していると報じられた。実行行為に至っていないのに、なぜ逮捕されるのか。
刑事事件にくわしく、警察官僚・警視庁刑事としての経歴も持つ澤井康生弁護士に聞いた。
●そもそも「予備罪」とは
最近、闇バイト強盗事件をめぐり、対象となる建物の付近でうろついていた者が強盗予備罪で逮捕されるケースが多発しています。
「強盗罪」はよく聞きますが、「強盗予備罪」はあまり聞いたことがないという人も多いでしょう。
予備罪とは、基本となる犯罪の実行行為に着手する前の「準備行為」そのものを処罰する犯罪類型です。
刑法では、殺人予備罪・強盗予備罪・放火予備罪・内乱予備罪・身代金誘拐予備罪など、重大犯罪にのみ規定されています。
これらが実行されてしまうと甚大な被害が生じるため、着手する前の準備段階から取り締まれるようにしたものです。
予備罪が成立するのは、その犯罪の実行に着手しようと思えばいつでもそれを利用して実行に着手できる程度の準備が整えられたとき、に成立するとされています(東京地裁昭和39年5月30日判決)。
●「軍手を持っていただけ」でも強盗予備になる
強盗予備も同様です。強盗の実行行為に着手しうる程度の準備があれば成立するため、ナイフや警棒などの武器、目出し帽や手袋などの道具を用意したり、移動・逃走用の車両を手配したりする行為も、幅広く強盗予備と認められます。
強盗予備罪の法定刑は2年以下の拘禁刑(刑法237条)で、予備罪のみで起訴された場合には執行猶予がつく可能性もあります。

