理想と現実のギャップ
「今度、お義母さんと一泊で温泉旅行に行くんだ!」
「うちはこの前、一緒にホテルのランチビュッフェに行ってきたよ」
平日の午後、カフェで集まった友人たちの口から飛び出すのは、義理の母親との良好な関係を物語るエピソードばかりでした。
笑顔で相槌を打ちながらも、私の心の中は冷や汗でいっぱいでした。世の中の「お嫁さん」たちは、こんなにも義母とうまくやっているのだろうか。私の周りを見る限りでは、義母と実の親子のように親しく過ごしている子が大半を占めているように思えました。
それに引き換え、私はといえば――。
「私は、お義母さんのことがどうしても受け入れられない」
口には出せない本音を飲み込みながら、私はどんよりとした気持ちで自宅への帰路につきました。
逃げ場のない「共有玄関」
夫の拓也と話し合い、義両親との二世帯住宅を建てたのは3年前のことです。
1階が義両親の居住スペースで、2階が私たち家族の住まい。完全にプライベートな空間は分かれており、義両親がわざわざ2階へ上がってくることはまずありません。
その意味では、プライバシーは守られているはずでした。しかし、どうしても避けられない決定的な問題があったのです。それは「玄関が共有である」ということでした。
外出する時も、帰宅した時も、必ず1階の共有スペースを通り、顔を合わせなければならない構造。家を出る一歩、そして帰ってきた一瞬に、いつも緊張感が走ります。
特に、幼稚園に通う娘の結菜を連れて帰ってきた夕方は、私にとって一日の中で最も憂鬱な時間帯になっていました。

