●裁判官「かなりエスカレートしている」
裁判官は、被告人の規範意識を問いただすように質問を続けた。
裁判官:遊びのような感覚と言ってますが、乗っ取り行為を教えた友人も、あなたのような脅迫行為をしていたのですか。
被告人:してないと思いますが、笑い話にはしていました。
裁判官:乗っ取りまでならまだしも、脅して金銭や性的画像を要求するのは、かなりエスカレートしていると思うが、自分ではどう思う。
被告人:当時の自分に思うこととしては、くだらない。でも、被害者がいるので、くだらないとは言ってられない。
どこか他人事のようにも聞こえる供述だった。
その後、裁判官は、被害者が抱いたであろう恐怖について言及した。
自分を脅す相手は、さらに別の秘密も握っているのではないか。要求がもっとエスカレートするのではないか。これから先、いつまで脅えないといけないのか──。
裁判官がそうした被害者心理を一つひとつ挙げると、被告人は「(その気持ちは)今はわかる」と答えた。
●「遊び感覚」で済まされるはずがない
検察側は、中学生から続く常習的犯行の一環であり、動機や経緯に酌量の余地はないと指摘。被害者に与えた恐怖感は大きいとして、懲役1年6カ月を求刑した。
一方、弁護側は、たまたま知れた誕生日から当てずっぽうでログインしたに過ぎず、計画性もなく稚拙な犯行だと主張。「好奇心に過ぎない」とうったえた。
また、各社ウェブサービスで二段階認証の導入が進み、安易なパスワード設定への注意喚起も広がっていることから、同じ手口による再犯の可能性はないとした。
たしかにセキュリティ対策の強化は、事業者にも利用者にも求められている。
しかし、SNSには、若い世代の私生活や交友関係など、極めてセンシティブな情報が詰まっている。そのアカウントを「遊び感覚」で乗っ取り、脅迫の道具に使う行為が、軽く済まされるはずもない。

