●暑熱対策のために制度の柔軟化へ
今回JRAが検討している「1日7レース化」そのものは、現行の「1日12競走以内」という規制の範囲内で実施できます。
問題は、減らしたレースをどこで実施するかです。
報道によると、JRAは削減するレースを別の日程に振り替え、年間の総レース数は維持する方針とされています。
「それなら平日に開催すればよいのでは」と思う人もいるかもしれません。
実際、中央競馬では平日開催がおこなわれており、平日開催そのものは禁止されていません。
ただし、開催回数や開催日数に上限があるため、単純に平日へ振り替えれば済むわけではありません。
そこで、農林水産省は今月、競馬法施行規則の改正案(概要)を公表しました。
改正案では「1年間の競走回数の上限を超えない限りにおいて、1年間の開催日数等の範囲を超えて中央競馬を開催することができる」とされているほか、「1回の開催日数が1日の中央競馬」を年間2回まで実施できるようにする内容も盛り込まれています。
JRAは平日開催などを活用してレースを分散させる方向で調整していると報じられており、暑熱対策を進めながら年間の総レース数を維持できるよう、制度の柔軟化が図られているのです。
●猛暑が競馬制度を変える
近年は夏場の猛暑が深刻化しており、人だけでなく競走馬への影響も問題視されています。
JRAはこれまで、新潟・中京開催では、第5レース終了後に長時間休止を設ける「競走時間帯の拡大」を導入するなど、暑熱対策を進めてきました。
しかし今回は、レース数そのものを減らし、開催形態まで見直そうとしています。
もし開催日数の増加や制度改正が実現すれば、気候変動が公営競技のルールや制度設計そのものを変える事例の一つとなりそうです。
競馬法が制定された時代と比べ、夏の環境は大きく変わりました。
競走馬の福祉や競技の安全性を確保するため、今後は競馬法や関連規則のあり方そのものが見直されていくのかもしれません。

