糸が切れた瞬間
「なんかもう、どうでもよくなってきたな……」
ぽつりと言葉が漏れました。
これまで、反抗期だと分かっていても、蓮の健康を考えて毎日ご飯を作り、衣服を洗濯し、生活を支えてきました。それなのに、裏では友だちと一緒になって私の人格を否定するような言葉を並べて楽しんでいる。その姿を想像したとき、これまで張り詰めていた糸が、プツンと音を立てて切れたのです。
中学生にもなれば、冷蔵庫にあるもので自分でご飯を用意することくらいできるでしょう。洗濯だって、やり方を教えれば自分でできる年齢です。
「もう、私が準備しなくていいよね。洗濯も、ご飯も」
悲しみを超えて、息子に対する愛想が尽きてしまったような感覚。母親としての役割をすべて投げ出してしまいたいという思いが、頭を支配していきました。
ぶつかり合いの先にあるもの
その夜、仕事から帰宅した夫に一連の出来事を話しました。夫はLINEの画面と私の疲れ切った表情を交互に見つめ、静かに息を吐きました。
「裏で悪口を言われていたのはショックだし、頭にくるのは当然だよ。ただ、蓮もゲームを消されてパニックになって、友だちに味方をしてほしかったのかもしれない。だからといって、言っていいことと悪いことがあるけどな」
夫はどちらか一方を責めることなく、それぞれの感情に理解を示しました。そして、私たちがこれからどうすべきかを一緒に考えてくれました。
私たちは話し合いの末、感情に任せて家事を放棄するのではなく、蓮を一人の「責任を持つべき人間」として扱い、ルールについてもう一度冷静に向き合うことにしました。
翌週末、少し落ち着きを取り戻したタイミングで、夫を交えて蓮とテーブルを挟んで座りました。私は、ゲームを勝手に消したことは冷静さを欠いていたと謝罪した上で、グループLINEの言葉に深く傷ついたこと、そしてルールを守らないことへの不信感を率直に伝えました。
蓮は最初は気まずそうに視線を外していましたが、私の涙を見て、小さく「ごめんなさい」と口にしました。友だちの手前、母親に反抗してみせる格好をつけたかったこと、ゲームが消えて自暴自棄になっていたことを、ぽつりぽつりと話してくれました。
スマートフォンのルールは、利用時間を自動で制限するアプリを導入するなど、お互いの感情に頼らない仕組みへと見直しました。
親だって一人の人間であり、子どもの言葉に傷つき、すべてを投げ出したくなる日もあります。それでも、不器用にしがみつきながら対話を諦めないことが、家族としての新しい関係を築く一歩になるのかもしれません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: kumasan
(配信元: ママリ)

