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“症状ゼロ”でも心不全は進行!? 高血圧・糖尿病の人が今日から始めたい『血管を守る対策』

“症状ゼロ”でも心不全は進行!? 高血圧・糖尿病の人が今日から始めたい『血管を守る対策』

ステージ分類から考える心不全予防―「異常なし」段階から進行防ぐ

 

宮脇大氏:
心不全には、がんと同様にステージ分類があります。ステージは以下のとおりA~Dの4段階に分類されます。

【ステージA】
高血圧や糖尿病、脂質異常症などのリスク因子があるものの、心臓に器質的な異常がない段階
【ステージB】
心臓に器質的な異常が認められるものの、症状は表れていない段階
【ステージC】
息切れやむくみが出現し、入院が必要となる状態
【ステージD】
心臓移植が検討されるような難治性心不全

ステージAからBへどのように進行するかというと、例えば高血圧の場合心臓に負担がかかり続けています。過剰な負荷のもとで収縮を繰り返した心臓は、次第に壁が厚くなります。その結果、しなやかさが失われ、拡張しにくい状態へと変化します。このような変化は、見た目の収縮機能が保たれていても心不全を引き起こす原因となります。

また、心不全は心臓だけの病気ではありません。血管、腎臓、肺、骨格筋、免疫、炎症など、全身のシステムが関与する病態として捉えることが重要です。

予防医療の役割は、ステージAの段階で進行を食い止めることにあります。ステージAの人をBに進めないこと、Bの人をCに進めないことが重要です。
なお、高血圧や糖尿病がある人は、心臓に異常がなくてもステージAに該当します。この事実を知ることが、予防の出発点となります。

「血管を守る」予防戦略の“課題”と『情報の届け方』の工夫

岸拓弥氏:
がんのステージ分類はドラマでも取り上げられ、広く社会に浸透しています。一方、心不全のステージ分類はほとんど知られていないのが現状ではないでしょうか。心不全はステージAの段階で介入することが最も効果的とされています。しかし社会への浸透はいまだ十分ではないように感じています。

大坂貴史氏:
糖尿病の患者さんは全員が心不全ステージAに該当します。日本糖尿病学会糖尿病専門医であっても、そうした視点で診療にあたっている医師は多くありません。目の前の血糖値やコレステロール管理に集中するあまり、将来のリスクへの意識が向きにくいこともあると思います。

宮脇大氏:
予防医療に携わる人にとって最も大切な役割は、患者さんがステージBやCに進まないよう予防的に働きかけることではないでしょうか。私のクリニックでもフィットネストレーナーに医学知識を伝え、利用者の健康意識を高める取り組みを進めています。

岸拓弥氏:
健診結果の分かりにくさも大きな課題です。現状は法的制約もあり、健診結果に診断的な表現を記載できません。そのため健診結果と受診行動の間に、産業医・保健師・トレーナーなどワンクッション挟む役割の存在が重要です。民間レベルでは、トレーナーや宅配業者、保険の担当者の活用などさまざまな取り組みも始まっています。

大坂貴史氏:
糖尿病で初めて外来を受診した患者さんの中には、数年前から健診で異常を指摘されていたケースが少なくありません。症状が出てからでは手遅れになる場合もあり、もっと早い段階での介入が必要です。一人でも多くの人にこの現状を知っていただきたいと思います。

宮脇大氏:
今後は健康データの解釈を支援する仕組みも整えていきたいと考えています。また、多職種が連携して市民のヘルスリテラシー向上に取り組むことが、これからの社会に求められているのではないでしょうか。

岸拓弥氏:
「正しい情報」を発信するだけでは不十分です。高血圧や糖尿病、体重のことで悩む人々の気持ちに寄り添い、その声に耳を傾ける姿勢が医療者にも求められています。脳卒中や心筋梗塞のない社会に向けて、「情報の届け方」を考え続けることが必要なのではないかと考えています。

配信元: Medical DOC

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