一番遠い、隣の人
翌朝、ぐったりした様子の私に夫の拓也が「どうかした?」と聞いてくれました。私は義母とのことで悩んでいると相談したのですが、拓也から返ってきたのは、寄り添う言葉ではありませんでした。
「そんなの、俺じゃなくておかんに直接言わないと何も変わらんやろ」
「でも、嫁の立場じゃ言えないよ」
「じゃ、結局俺にどうしてほしいってことなん?」
まるで責めるような言葉の羅列にモヤモヤしました。
たとえ私が何かお願いしたとしても、和子さんの性格が今さら変わるとも思えません。
拓也に助けを求めたかっただけなのに。ただ「つらいね」と共感してほしかっただけなのに。
「私の心が狭いだけなのかな……」
布団を頭からかぶり、涙がポロポロとこぼれ落ちました。自分がひどく孤独な存在に思えて仕方がありませんでした。
小さな境界線、これからの選択
それから数日、私は必要最低限の会話だけを交わし、心のシャッターを閉じて過ごしました。
ある日、私の様子を察したのか、和子さんが「これ、美穂さんの好きな甘いもの。ちょっと休んでね」と、そっとお盆を置いていきました。その顔には、やはり悪意など微塵もありませんでした。
そのとき、ふと気づいたのです。
和子さんは悪者ではない。ただ、私とは根本的に「合わない部分がある」だけなのだ、と。
そして拓也もまた、悪気があって私を突き放したのではなく、どう対応していいか分からず困惑していたのかもしれません。
誰かが100%悪いわけではない。だからこそ、逃げ場のないこの環境のなかで、中立でいることの難しさを痛感しました。
「これからは、自分の心を守るための境界線を作ろう」
私はまず、車の修理が終わったら、週に1度の仕事の時間を外のカフェやコワーキングスペースで過ごす計画を立てました。物理的にこの家から、そして義両親から離れる時間を強制的に作ることにしたのです。
そして拓也には、感情をぶつけるのではなく、「具体的なタスク」として協力を仰ぐことにしました。「週に1度、1時間だけでもいいから、子どもと私と3人だけで散歩に行く時間がほしい」と。
完全同居の壁は高く、今も悩みは尽きません。義両親との距離感に迷う日々は続きますが、まずは自分が息を吸える場所を少しずつ確保すること。
不器用な家族のなかで、私自身の笑顔を取り戻すための模索は、まだ始まったばかりです。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: kumasan
(配信元: ママリ)

