3年前に左胸のしこりに気付きながら、毎年の乳がん検診で「異常なし」と言われ続けていたさおりさん(仮称)。しかし、しこりは少しずつ大きくなり、胸のハリ、そして乳首から黄色みを帯びた分泌物まで表れます。症状の変化に不安を覚えたさおりさんは、自ら検診の場で医師へ訴えます。その結果、紹介先の病院で精密検査を重ね、約2カ月後の9月に「左乳がん(乳管にできるがん)ステージ1」の告知を受け、早期発見につながりました。検診結果に頼り過ぎず、体の違和感を大切にしたさおりさんに、告知から手術に至るまでの道のりについて聞きました。
※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年11月取材。
体験者プロフィール:
さおりさん(仮称)
群馬県在住。2025年9月、誕生日の翌日に左乳がんと診断される。同年中に部分切除手術を受け、現在は病理検査の結果を待ちながら回復期を過ごしている。
しこりを見つけても、検診では「異常なし」
編集部
最初に異変に気付いたのは、いつごろのことですか?
さおりさん
診断を受ける3年ほど前です。左胸にしこりがあるのに気付きました。ただ、毎年受けていた乳がん検診では特に何も指摘されなかったので、すぐに医療機関を受診せず、自宅で様子を見ていました。お風呂に入るたびに自分で触ってみて、大きさが変わっていないか、形が変わっていないかを確かめるのが習慣になっていましたね。
編集部
その後、症状に変化はありましたか?
さおりさん
徐々に「あれ? 少し大きくなった気がする」と感じる瞬間が増えてきました。日に日に胸のハリが強くなり、しまいには乳首からやや黄色みを帯びた透明な液体がにじみ出てくるようになって……。さすがに「これは普通じゃない」と思い、不安が一気に膨らみました。
編集部
受診から診断までの経緯を教えてください。
さおりさん
2025年7月に受けた乳がん検診でも何も言われなかったため、私の方から「以前から左胸にしこりがあって、最近は痛みも出て気になっています」と伝えました。すると、その場ですぐにがんセンターへの紹介状を書いてもらえて、受診したらエコー検査、マンモグラフィ、針生検(病変部に細い針を刺して組織を採取する検査)の3つを立て続けに受けることになりました。その後、改めて主治医から「左乳がんです」と告げられたんです。
編集部
告知はどのような形で行われましたか?
さおりさん
主治医からストレートに「乳がんです」と言われました。続けて、「しこりも小さく、ステージ1の初期段階だと思います」とも説明してくれました。その瞬間、私の中には「やっぱり……」という納得感と、「ショックだなぁ」という残念な感情が同時に湧きました。
病気を経て気付いた、日々のありがたさ
編集部
主治医から、診断の詳細についてはどのような説明を受けましたか?
さおりさん
「左乳がん、ホルモン陽性(女性ホルモンの影響を受けて増殖するタイプ)、ステージ1、遠隔転移なし、リンパ節転移なし」と説明されました。
編集部
治療の方針はどのように決まりましたか?
さおりさん
初期段階だったため、今後の治療方針を決める目的で行った遺伝子検査で決めることになりました。結果は陰性で、「全摘出か部分切除のいずれかを選択できる」という説明を受け、私は迷わず部分切除を選びました。「その後の治療は、切除した組織の病理検査でHER2(がん細胞の増殖に関わるタンパク質)が陽性か陰性かによって決まる」とも言われました。
編集部
手術前の心境について教えてください。
さおりさん
不安はもちろんありました。でも、それ以上に「とにかく早く手術をしてほしい」という気持ちが強かったですね。「初期だから」と何度も言われていたので、「治る確率が高いかもしれない」と自分に言い聞かせるようにしていました。
編集部
手術中や入院中、印象に残っていることはありますか?
さおりさん
検査結果を待っている時間ですね。人生で一番不安だったと思います。手術自体は、むしろ「自分の体からがんがなくなるんだ」という安心感の方が大きかった気がしています。また、入院中はご飯がおいしかったことが印象に残っています。当たり前のことが、当たり前ではないと気付ける時間でもありました。
編集部
がんになった後、自分の中で変わったことはありますか?
さおりさん
1日1日が特別になりました。今は「命がある」ということだけで、本当にありがたいことなんだと思っています。

