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胃瘻での経管栄養とは?手順や準備方法、メリットやデメリットも解説

胃瘻での経管栄養とは?手順や準備方法、メリットやデメリットも解説

大切な家族が胃瘻を勧められ、不安を抱える方は少なくないでしょう。初めて耳にする言葉や医療処置に対し、戸惑うのも無理はありません。

胃瘻はお腹に小さな穴を開け、チューブで直接胃へ栄養を送る医療処置です。加齢や病気で飲み込む力が衰えた際に、安定した栄養摂取の手段として検討されます。

本記事では胃瘻と経管栄養の基本的な知識や手順を詳しく解説します。介助のポイントや注意点について正しい知識を身につけることで、毎日の介護への不安の軽減につながるでしょう。

高山 哲朗

監修医師:
高山 哲朗(かなまち慈優クリニック)

【経歴】
理事長 高山 哲朗
平成14年慶應義塾大学卒業
慶應義塾大学病院、北里研究所病院、埼玉社会保険病院等を経て、
平成29年 かなまち慈優クリニック院長
【所属協会・資格】
医学博士
日本内科学会総合内科専門医
日本消化器病学会専門医
日本消化器内視鏡学会専門医
日本医師会認定産業医
東海大学医学部客員准教授
予測医学研究所所長

胃瘻(いろう)と経管栄養の基礎知識

患者に笑顔で接する女性医師・医者

胃瘻とはどのような状態ですか?

お口から食事をとることが難しい方に行われる医療処置の一つです。腹部から胃に直接小さな穴を開けて短いチューブを通した状態を指します。この人工的に作られた栄養補給のための経路のことを胃瘻と呼びます。内視鏡を用いた手術で処置が行われ、手術は短い時間で終わるのが一般的です。鼻から胃へ長いチューブを入れる方法と比べ、本人の不快感を大きく軽減できます。またチューブが喉を通らないため、呼吸がしやすくなる点も大きな特徴です。

経管栄養とはどのような方法ですか?

胃瘻などの専用チューブを通して、栄養剤や水分を直接体内に注入する方法です。経管栄養には胃に直接チューブを入れるもののほか、鼻や腸から入れる方法もあります。食物を飲み込む機能が低下した方に対し、必要な栄養を安定して届けることが可能です。これにより、お口からの食事が困難になっても、生命維持に必要なエネルギーの確保が可能です。鼻から管を入れる方法は、主に数週間などの短期間の栄養管理に用いられます。一方で胃瘻による管理は、数ヶ月以上の長期間にわたるケースで推奨される方法です。特に胃瘻は、消化管という本来の消化吸収ルートを使用するため、生理的な状態に近く長期管理に適した選択肢といえます。

胃瘻が必要になる状況について教えてください。

主に加齢や病気によって、飲み込む力が著しく低下した場合に検討されます。脳血管疾患の後遺症などで食事が困難となるケースのほか、認知症により食べ物を認識して飲み込む一連の動作が難しくなり、導入に至る場合もあります。食べ物や唾液が誤って気管に入り、誤嚥性肺炎を繰り返してしまう方も対象の一つです。無理に口からの摂取を続けると、肺炎によって命に関わる危険性が高まります。いずれにしても、十分な水分や栄養をお口から摂取できず、深刻な栄養不良に陥る危険がある状況が対象となります。

胃瘻のメリットとデメリットを教えてください。

胃瘻にはいくつかのメリットとデメリットが存在します。主なメリットは以下のとおりです。

安定した栄養摂取が可能

鼻チューブに比べ苦痛や不快感が軽減

衣服に隠れるため目立ちにくい

嚥下リハビリと併用が可能

栄養状態が改善することで、体力回復や免疫力の向上が期待できます。喉への刺激が少ないため、お口から食べる訓練を無理なく進められる点も利点です。またチューブが邪魔にならず、着替えや入浴などの日常生活が送りやすくなります。一方でデメリットには、以下のようなものが挙げられます。

内視鏡による手術の必要がある

皮膚トラブルや感染リスクのおそれがある

定期的なチューブ交換の必要がある

身体的および心理的な負担になりうる

胃瘻の処置時には手術が必要となり、その後の皮膚トラブルにも注意が必要です。また、毎日のチューブ管理や部品の交換も発生し、これらの要素は家族の負担になりうる問題といえます。メリットとデメリットを考慮したうえで、慎重に決定することが重要です。

胃瘻による経管栄養の手順と準備

ベッドで寝たきりのお年寄りと介護士の女性

胃瘻を行う際の基本的な手順を教えてください。

まず栄養剤を注入する前に、チューブの接続や破損がないかを確認します。胃への注入は適切な速度でゆっくりと進め、注入中は本人の顔色の変化や吐き気がないか観察することが大切です。栄養剤がすべて入ったら、白湯を注入してチューブ内をきれいに洗浄し、キャップを閉めて終了です。胃からの逆流を防ぐため、注入後も30分から1時間は上体を起こした姿勢を保ちましょう。

事前準備ではどのようなものが必要でしょうか?

経管栄養を始める前には、適切な環境と物品の準備が欠かせません。主に準備するものは以下のとおりです。

医師から指示された専用の栄養剤

注入に使うボトルやシリンジなどの器具

チューブを洗浄するための白湯

衣服や寝具の汚染を防ぐためのタオル

まず、感染を防ぐために丁寧に手洗いを済ませます。栄養剤は種類や量に間違いがないか、消費期限も含めて事前に必ずチェックしましょう。また胃への逆流や嘔吐を防ぐために、事前の姿勢調整も重要な準備の一つです。ベッドの背もたれを30度から45度程度に上げ、苦しくないか声かけをして確認します。

胃瘻による経管栄養を安全に行うためのポイントはありますか?

トラブルを防いで適切に栄養を届けるためには、いくつか重要なポイントがあります。

適切な温度管理

医師の指示に基づいた注入速度のコントロール

注入中の体調確認

使用する器具の衛生管理

栄養剤が冷たすぎると下痢の原因となるため、冷蔵庫に保管している場合は常温に戻しておきます。また栄養剤を早く注入しすぎると下痢や嘔吐を引き起こすため、医師の指示どおりに注入速度を守ることが大切です。途中でむせたり苦しそうな様子を見せたりした場合は、ただちに注入をやめ、訪問看護師や医師などに相談しましょう。使用後のボトルやシリンジは毎回きれいに洗浄し、しっかりと乾燥させます。

配信元: Medical DOC

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