寝たきりの家族に口腔ケアを行う際の注意点

口腔ケアによる誤嚥性肺炎のリスクと予防策を教えてください。
口腔ケア中は、歯磨きで浮き出た汚染物や使用した水分が気管に入り込むリスクがあります。特に嚥下反射や咳反射が低下した寝たきりの方では口腔ケア時の汚染した水分が気管や肺に入りやすい状態です。このリスクを軽減するために、以下の対策をあわせて実施しましょう。
頭部を横向きにする
水分が流れ込まない姿勢を確保する
誤嚥リスクが高い場合は水を使わない
口腔ケア用ジェルに切り替える
ブラシ類は使用前によく水を絞る
こまめに吸引器で汚染物を除去する
ケア後もしばらく姿勢を保持する
日々のケアの積み重ねが大きな予防策となるので、無理のない範囲で継続することが大切です。
汚れが口腔内にこびりついている場合はどうすればよいですか?
口腔内が乾燥すると、痰や剥離上皮(はくりじょうひ)が粘膜や上顎にこびりつくことがあります。このような場合は、口腔ケア用ジェルを患部に塗布して汚染物をやわらかくしてから除去することが大切です。力を加えて無理にこすると粘膜が傷つくため、ジェルを塗布してしばらく待ちます。そして、汚染物が軟化してからスポンジブラシや粘膜用の軟毛ブラシでやさしく取り除きましょう。汚れがひどい場合や出血が見られる場合は、歯科医師や歯科衛生士への相談をおすすめします。
含嗽(うがい)ができない場合はどうすればよいですか?
うがいができない場合でも、水を使わない方法で口腔ケアを行うことが可能です。口腔ケア用ジェルで汚れを浮かせて拭い取る方法や、スポンジブラシで口腔内を拭い取る方法が有効です。水を使用しないことで、誤嚥のリスクを大幅に軽減できます。ジェル使用後は口腔内に残留しないよう、スポンジブラシで丁寧に拭い取ることが重要です。嚥下機能が低下している方には水を使わない専門的口腔ケアが推奨されており、歯科衛生士への相談も積極的に検討してみましょう。
口腔ケアを拒否される場合はどうすればよいですか?
口腔ケアを拒否される場合は、無理に行うのではなく、安心感を与えながら段階的に進めることが重要です。
ケアの前に行うことを伝える
口周りに触れるだけから始める
段階的に慣れてもらう
軟らかい用具を使用する
痛みや不快感を抑える
本人の好みの味のうがい液や歯磨き粉を選ぶ
リラックスできる時間帯にケアを行う
焦らずゆっくり取り組む
拒否があっても口腔ケアを中止すると全身状態が悪化する可能性があります。それでも拒否が続く場合は、歯科医師や歯科衛生士、担当のケアマネジャーへ相談してみましょう。
編集部まとめ

寝たきりの方への口腔ケアは、誤嚥性肺炎などの全身疾患予防に重要です。
また、口腔内の状態や嚥下機能に応じて、標準的なケアと水を使わないケアを使い分けることが効果的で安全性を高めるケアのポイントです。
難しいと感じる場面や悩みが生じた場合は、歯科医師や歯科衛生士、地域の歯科訪問サービスへ相談してみましょう。
1日1回5分から始めて介護者の負担を抑えながら無理なく継続することが大切です。
参考文献
口腔ケア外来のご案内 | 国立長寿医療研究センター
第5章 口腔ケア 2.誤嚥リスクがある高齢者への安全な口腔ケア「水を使わない口腔ケア」 | 公益財団法人 長寿科学振興財団
口腔ケアの具体的方法 | 健康長寿ネット 公益財団法人 長寿科学振興財団
要介護高齢者に対する口腔ケア | 国立長寿医療研究センター

