装飾義肢として一つの道をきわめたい
日常で使う装飾義肢は、消耗品でもある。平岡さんのもとには数年越しのリピーターも訪れ、なかには「年齢を重ねたので、義肢のしわを増やしてほしい」といった依頼もあるそうです。義肢装具士は、身体の一部を補う義肢だけを扱う仕事ではなく、失った機能を補う「装具」も扱う仕事。装飾義肢を得意とする平岡さんは「すべてを高いレベルで作れるわけではありません」といいます。
「同業の方を手伝う機会はあって、装具を扱うときもあります。ただ、脊柱が曲がってしまう側弯症のお子さんの成長に合わせて、何百例も装具を作り続けて上手な人がいたり、同じ義肢装具士であっても専門分野はさまざま。僕が今から追求しても敵わないし、装飾義肢をきわめて、誰かの役に立ち続けられるのであればと思います」
心温まる感謝の手紙が届く日もあり、今の仕事は「楽しい」と胸を張る平岡さん。会社の工房では、ときに夜明けまで徹夜して装飾義肢の作業に没頭するときも。それでもつらいと思ったことはなく「色を重ねていく作業も、形を整えるために装飾義肢を掘っていく作業も、ルンルン気分でやっています」と笑う平岡さんは、今日もまた「もっときれいな装飾義肢を作れるように」と秘めながら、作業台に向かっています。
<取材・文・撮影/カネコシュウヘイ>

