●当事者による録音まで認めない理由は?
ただし、これは一般傍聴人に対し、録音を全面許可することには慎重であるべき、という話です。
当事者や代理人弁護士が録音することを禁じることに、どれだけ合理性があるのかは疑問です。
訴訟当事者が自分の裁判のやりとりを正確に記録したいというのは自然なことで、それを認めない理由は、あまりないように思われます。
裁判所だって誤りもあるでしょう。訴訟指揮に対する異議などをその後に残すことを考えても、実際に法廷で何が起こっているのか、録音を認める必要性は高いように思えます。
なお、訴訟の期日については調書が作成されますが、調書は発言全てを正確に写してはいませんし、内容の正確性の担保がありません。
電力会社などの法務部員が正確な記録のために録音を行ったのも、調書だけでは法廷での発言内容そのものや、発言のニュアンスが失われ得るという実務上の不都合があったからとも思えます。
●無許可録音には監置・過料の制裁がある
もっとも、規則違反に対する制裁が存在することには注意が必要です。
法廷等の秩序維持に関する法律2条1項は、裁判所が秩序維持のため命じた事項を行わない者や、裁判の威信を著しく害した者に対し、20日以下の監置または3万円以下の過料、またはこれらを併科するとしています。
さらに、裁判所法73条の審判妨害罪(1年以下の拘禁刑または2万円以下の罰金)として処罰される可能性もあります。
加えて、実務上、法廷警察権の作用として、録音を消去する措置や、誓約書の徴収、録音媒体の任意提出を求める運用もあるようです。
私自身は、当事者による録音を制限することにはあまり合理性がないとは思っていますが、規則上は「許可制」であっても、無許可で行えば、こうした制裁の対象になる点には注意が必要です。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

