くも膜下出血の検査法
頭部CT・CTA(angiography)
くも膜下出血は、脳の動脈瘤が破れて出血する病気であり、突然の激しい頭痛や吐き気、意識障害などの症状が現れる場合には、早急な対応が必要です。この病気を診断するためには、脳神経外科や救急科のある病院で「頭部CT」や「CTA(CT血管造影)」といった検査が行われます。頭部CTはX線を用いた検査で、脳内の出血を確認することができ、くも膜下出血が疑われる場合の最初の検査として実施されます。また、CTAは造影剤を静脈から体に注射して脳や体幹部の血管を詳細に調べる検査で、くも膜下出血の原因となる動脈瘤の有無やその位置や形を特定するために用いられます。くも膜下出血が診断された場合には、出血の再発を防ぐために必ず入院が必要となり、一般的には2~4週間程度が目安となります。
頭部MRI
頭部MRIは、磁気を利用して脳の断面画像を撮影する検査であり、頭部CTとは異なり放射線を使用しないため、身体への負担が少ないのが特徴です。MRIでは、脳の組織や血管をより詳細に観察することができるため、くも膜下出血の診断に加え、脳内の異常や他の疾患の有無を調べる際にも有効です。特に、「MRA(磁気共鳴血管造影)」という技術を用いることで、脳の血管を非侵襲的に評価することが可能となり、動脈瘤の形状や大きさを詳しく確認する際に役立ちます。頭部MRIは、くも膜下出血の診断補助や、追加の詳細な情報を得るために行われることが多く、特に造影剤を使用しない検査であるため、造影剤にアレルギーがある患者さんにも適しています。脳神経外科等にて行われ、入院期間は2〜4週間程度が目安となります。
脳血管撮影
脳血管撮影は、カテーテルを用いた検査で、造影剤を直接血管内に注入しながらX線で撮影を行うものです。この検査は、脳の血管を非常に詳細に観察することができるため、動脈瘤や血管の異常を正確に診断する際に行われます。脳血管撮影は、診断だけでなく、治療計画を立てる際にも重要な役割を果たします。特に、コイル塞栓術などの血管内治療を行う場合には、この検査が必要不可欠です。この検査では、動脈瘤の形状や血管の状態を詳細に把握することが可能であり、治療の選択肢を決定するための重要な情報が得られます。脳神経外科(血管内治療)にて行われ、入院期間は2〜4週間程度が目安となります。
「くも膜下出血の治療」についてよくある質問
ここまでくも膜下出血の治療などを紹介しました。ここでは「くも膜下出血の治療」についてよくある質問に、メディカルドック監修医がお答えします。
くも膜下出血の再出血を予防する薬はありますか?
㮈本 悠嗣(医師)
残念ながら、くも膜下出血の再出血を予防するための薬は、現在のところ存在しません。くも膜下出血の再出血は主に脳動脈瘤の破裂によって起こるため、再出血を防ぐためには、できるだけ早く動脈瘤をクリッピングやコイル塞栓術といった外科的または血管内的治療で閉鎖することが最も重要です。現時点で、薬によって直接的に再出血を予防できるという明確なエビデンスはなく、国際的なガイドラインや主要な論文でも薬物療法は標準治療として推奨されていません。再破裂の予防処置を行うまでの間に補助的に、血圧を適切にコントロールするための降圧薬や、発症直後に一時的に抗線溶薬(トラネキサム酸など)が用いられることもありますが、これらはあくまでリスク低減や一時的な措置であり、根本的な再出血予防策ではありません。したがって、くも膜下出血の再出血予防には、早期の動脈瘤閉鎖が最も効果的です。
くも膜下出血の10年後の生存率について教えてください。
㮈本 悠嗣(医師)
くも膜下出血は重篤な疾患であり、発症直後から高い死亡率が知られています。複数の海外文献によると、くも膜下出血発症後の10年生存率はおおよそ30~40%程度と報告されています。特に、発症から1年以内に死亡しなかった患者に限れば、その後10年間生存できる割合はさらに高くなりますが、それでも一般人口と比べると低い水準です。生存率は年齢や発症時の重症度、治療方法、合併症の有無などによって大きく左右されます。現代医療の発展に伴い、治療後の死亡率は低下傾向にあるとされていますので、まずは再破裂予防の処置を行うことが大事です。

