「血圧が高いとよくない」と聞いたことはあっても、実際に体の中で何が起きているのか、きちんと説明できる人は多くありません。高血圧は自覚症状がないまま進行し、気付かないうちに血管や臓器にダメージを与える病気です。今回は、高血圧が続くと体にどのような影響が起こるのかについて、あずま久我山内科 循環器内科・糖尿病内科院長の東先生に解説してもらいました。
※2026年2月取材。

監修医師:
東 亮子(あずま久我山内科 循環器内科・糖尿病内科)
群馬大学医学部卒業。医学博士。東京医科歯科大学第3内科入局後、同大学附属病院・関連病院で内科・循環器内科医として研鑽を積み、2024年にあずま久我山内科 循環器内科・糖尿病内科を開業。高血圧症・脂質異常症・糖尿病などの生活習慣病から、狭心症・不整脈・心不全などの循環器疾患まで幅広く診療。地域のかかりつけ医として一人ひとりに寄り添う医療を心掛けている。日本内科学会総合内科専門医、日本循環器学会循環器専門医。難病指定医。認知症サポート医。
高血圧が続くと、体の中で何が起こる?
編集部
高血圧とは、どのような状態を指す病気ですか?
東先生
高血圧とは、血圧が慢性的に高い状態が続くことを指します。一時的な上昇ではなく、安静時でも高い数値が続くことが問題なのです。診察室血圧で140/90mmHg以上、家庭血圧で135/85mmHg以上が高血圧とされています。多くの場合、自覚症状はありません。
編集部
血圧が高い状態が続くと、血管にはどのような負担が掛かりますか?
東先生
血圧が高い状態では、血管の壁に常に強い圧力が掛かります。この負担が長く続くと、血管の内側が傷つきやすくなります。
編集部
血管の内側が傷つくと、どうなるのでしょうか?
東先生
体は傷ついた血管を修復しようとしますが、修復を繰り返すうちに血管の壁が厚く硬くなり、しなやかさが失われます。この状態が動脈硬化です。
編集部
動脈硬化という言葉は、よく耳にします。
東先生
ご存じの人も多いと思います。動脈硬化はゆっくり進行し、初期には症状がありません。しかし、血管は全身にあるため、進行するとさまざまな臓器に影響が出るのです。
高血圧が続くと、どんな病気につながる?
編集部
動脈硬化が進むと、どのような影響が出てくるのでしょうか?
東先生
動脈硬化が進むと血管が狭くなり血流が悪くなるため、詰まりやすくなります。また、血管の壁がもろくなることで破れやすくなり、出血のリスクも高まります。どの部位の血管に影響が出るかによって、起こる病気は大きく異なります。
編集部
ではまず、心臓に関わる病気について教えてください。
東先生
心臓に酸素や栄養を届ける血管を「冠動脈」といいます。冠動脈が動脈硬化で狭くなると、心臓に十分な血液が届かず胸痛が起こります。これが狭心症です。さらに血管が詰まると心筋梗塞になり、命に関わることもあります。実は、血圧を下げることは心臓の病気の予防にとても効果的で、高血圧の人が上の血圧(収縮期血圧)を10mmHg下げるだけで、狭心症や心筋梗塞のリスクは約20%減ること、心不全のリスクは30%減ることが分かっています。
編集部
心不全も、高血圧と関係があるのでしょうか?
東先生
大いに関係があります。血圧が高いと心臓は強い力で血液を押し出さなければならず、負担が積み重なることで心臓が疲れ、血液を送り出せなくなるのです。さらに、高血圧は不整脈、特に心房細動(心臓のリズムが不規則になる不整脈の一種)の発症リスクを高めます。心房細動は脳梗塞の原因となるため、血圧管理は非常に重要です。正常血圧の人が無理に下げる必要はありませんが、高血圧の人は血圧を適切な範囲に改善することで、心臓の病気のリスクを減らすことができます。

