●妻「絶対ウソだと思った」
弁護側は、被告人が事件後、ギャンブル依存改善のために通院し、自助グループへの参加も予定していることを証拠として提出した。
情状証人として出廷した妻は、被告人について「家事は進んでしてくれる」「やることはちゃんとやる」と語る一方、「自分に甘いところが多い」「お金絡みでは嘘をつきがち」とも証言した。
警察官から「80万円を奪われた」と聞いた際には、「うちにそんな金ないし、絶対ウソだ」と思ったという。
過去の借金問題では、被告人の親が返済を肩代わりした。その際、妻は「次に同じことがあったら離婚する」と伝えていた。それでも今回、事前に相談してくれていたら払う意思はあったという。
「そりゃ頭にきますが、それ以上に助けてもらってきているので…」
怒りとも呆れともいえない、さまざまな感情がにじみ出た口調だったが、今後も関係を続けていくとした。
●「強盗に襲われた」ように自宅を荒らした
弁護人からの被告人質問では、事件当日の行動も詳細に語られた。
その日は、督促されていた借金の支払期限だった。朝は通常通り出勤し、「入金に行く」として1時間の時間休を取得した。
当初は、生命保険金などで借金を清算できるよう、闇バイトの強盗に襲われたように見せかけて自殺しようと考えていたという。
自宅玄関で、職場から持ち出した包丁を腹に当てたものの、決行できなかった。
時間だけが迫る中、妻と鉢合わせすることを恐れて、あてもなく家を出た。その際、「強盗に入られた」ように見せるため、押し入れやドアを開け、部屋を荒らした。
その後、消防用の長い靴紐で首を吊ることも考えたが断念。最終的に、今回の強盗の虚偽事件につながった。
弁護人:誰に、どうしてほしかったんですか。
被告人:妻に80万円を用立てしてほしかった。
弁護人:どう説明するつもりだったんですか。
被告人:強盗に遭って、貯めていた80万円を盗まれたから、(妻に)立て替えてほしいと…。
被告人は、「第一発見者には妻にだけ連絡してほしかった。警察に通報してもらうつもりはなかった」と供述した。
しかし、現場では数人がかりで保護され、気がついたら警察へ通報されていた。
帰宅後、妻から「嘘だべ?」と聞かれ、「んだ(そうだ)」と認めたという。
警察に虚偽を打ち明けた際には、「やっぱりそうか」と言われたといい、計画の杜撰さもうかがわせた。
それでも、地域の警察官が通学路の見守りまで動員され、所属する消防署も記者会見を開く事態となった。
想像以上に大きな騒動になり、そして公務員としての信用を失墜させたことに謝罪の言葉を口にした。今後、自己破産の手続きに進みつつ、依存症としての自覚を持って治療に励むという。

