●検察官「警察に通報されると思わなかった?」
検察官は「警察に通報してもらうつもりはなかった」という供述を厳しく追及した。
検察官:消防職員として、事件性のある現場ではどう対応するんですか。
被告人:警察に臨場依頼します。
検察官:あなたのストーリーでは、強盗事件で、犯人は捕まってないんですよね。
被告人:はい。
検察官:それを聞いたら、警察に言うだろうと想像できませんか。
被告人:切羽詰まってる中で、変な確信があった。通報されるとは思いませんでした。
検察側はさらに、過去にも借金問題で自暴自棄になり、家族の薬を服用して搬送されたことがあると指摘。
被告人は「ギャンブルをやめれば大丈夫だと思い込み、問題を直視してこなかった」とこれまでの心情を吐露した。
●170人を振り回した代償
検察側は、自ら身体を縛り、強盗にあったとする犯行態様には一定の“巧妙さ”があり、悪質であると指摘した。
170人もの警察関係者に徒労の業務を負わせただけでなく、地域へ不安を抱かせた点なども悪質であるとして、拘禁刑1年を求刑した。
一方、弁護側は、被告人が借金を家族に打ち明けられず追い詰められていたこと、自殺まで考えていたことを強調。犯行の主目的は業務妨害ではなく、短時間で虚偽が発覚したことや、解雇見込みという社会的制裁も受けているとして、執行猶予付き判決を求めた。
自分の抱える問題だけに目を向け、周囲への影響を想像できなかった被告人。今回浮き彫りになったのは、それだけではない。警察も消防も、地域社会も、多くの人によって“見えないところ”で支えられているということだ。

