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「イノベーションで新たな可能性を切り拓く」――バイエルが描く”次世代の医療”、患者さんにどう届く?

「イノベーションで新たな可能性を切り拓く」――バイエルが描く”次世代の医療”、患者さんにどう届く?

注力領域は心・腎・代謝、脳血管、神経変性

モダリティの多様化や事業戦略の話だけでは、実際に患者さんの生活がどう変わり得るのかが見えにくいかもしれません。会見では、既に承認されている心・腎疾患領域、開発進行中の脳血管疾患領域、そして神経変性疾患領域に関して説明がありました。

心臓と腎臓を「一緒に守る」――「心腎連関」への治療アプローチ

心臓と腎臓は別々の臓器と感じている人は多いかもしれません。しかし実際には、慢性腎臓病の患者さんでは心不全のリスクが高まり、心不全の患者さんでは腎機能の低下が進みやすいなど、両者は深く関係しています。日本でも慢性腎臓病患者さんの多くが心血管系のリスクも併せ持つといわれます。この「心腎連関」とも呼ばれる関係は、これまで治療現場で十分に意識されてこなかった領域でもあります。

バイエル薬品の慢性腎臓病治療薬「ケレンディア(一般名:フィネレノン)」は、腎臓や心臓に存在するミネラルコルチコイド受容体の過剰な活性化を抑制し、炎症や線維化に関与する経路に作用する経口薬です。当初は2型糖尿病を合併する慢性腎臓病の患者さんを対象に承認されており、2025年12月には左室駆出率(左心室内の血液のうち拍出される割合)が40%以上の心不全患者さんに対する追加承認を取得しました。

アルオウフ氏は同薬を「心臓と腎臓を、慢性腎臓病などの疾患から守ることを目的とした製品」と位置づけました。また、糖尿病非合併の慢性腎臓病を対象とした臨床試験の良好な結果も得られており、対象患者をさらに広げる準備が進んでいると説明しました。

脳卒中の再発予防、「出血リスク」の低減に向けて

脳卒中は、世界で毎年約1200万人が発症し、5人に1人前後が5年以内に再発するといわれており、再発予防は重要な課題です。クーネン氏は、「従来の抗血栓療法(血液をサラサラにする薬を服用し血栓ができるのを防ぐ治療法)では出血リスク、特に頭蓋内出血リスクの増大という課題が伴ってきた」と指摘。そのうえで同氏は、「日本のように脳卒中の患者さんが多い国では、出血リスクを抑えながら再発を防げる薬剤の開発が、日常生活の質を守るうえで大きな意味を持ちます」と訴え、この両立を目指す経口抗血栓薬の研究開発を進めているといいます(現時点で国内未承認)。

パーキンソン病への細胞・遺伝子治療――「対症療法」から「神経機能の再構築」へ

パーキンソン病は世界で2番目に多い神経変性疾患であり、診断時には脳内でドーパミン(運動機能や意欲に関わる神経伝達物質)を生成する細胞の約半数がすでに失われているともされています。

現在のパーキンソン病に対する標準治療はドーパミンを補充する対症療法が中心で、運動症状の改善には寄与するものの、神経細胞の喪失そのものを止めることはできません。そのため同社は、失われた細胞を補う細胞治療と脳内に残る細胞の機能を補助・維持する遺伝子治療の両軸で新たな治療選択肢の開発を進めていると発表しました。

これらは「症状を抑えるだけの治療」から「神経機能そのものの再構築」へ向かう試みであり、患者さんの将来のQOL改善に直接つながる可能性があります(いずれも国内未承認)。

「より画期的な治療を、より早く届ける」――100年企業は次の段階へ

今回のバイエル薬品の会見では、「いまだ満たされていない医療ニーズにいかに応えるか」という視点と、その実現手段としての「モダリティ多様化」「外部連携」という戦略アプローチから、慢性腎臓病、心不全、脳卒中、パーキンソン病など、同社が向き合う領域や治療の展望が語られました。いまだにアンメットニーズが残るこれらの疾患領域は、患者さんや家族の生活に大きな課題を残しています。最後にアルオウフ氏は「当社は、今後もアンメットニーズに応えるより画期的な治療をより早く日本の患者さんに届けるため、イノベーションによる進化を続けていきたい」と展望しました。

*本稿には、現時点で国内承認されていない研究開発中の薬剤・治療法に関する記述が含まれます。これらは効能・効果が確立しておらず、本稿は当該開発品の使用や受診を促すものではありません。

*本稿には特定の治療法についての記述がありますが、情報提供のみを目的としたものであり、医療上の助言や受療促進などを目的とするものではありません。

配信元: Medical DOC

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