わが家は、ごく一般的な家庭です。夫は比較的裕福な家庭で育ちましたが、私は大人になってから、自分の実家はそれほど裕福ではなかったのだと気づきました。そのため、相続で揉めるなんて、どこかドラマの中だけの話だと思っていたのです。ところが、祖父母の死をきっかけに、状況は大きく変わりました。
父方の祖父母が亡くなって
数年前、私の父方の祖父母が立て続けに亡くなりました。身近な人を見送るのは、高校生のころに母方の祖父を亡くして以来のこと。子どもたちを連れてのお通夜や葬儀は慌ただしく、体力的にも大変でしたが、幼いころからお世話になった祖父母との別れに、胸がいっぱいになりました。
父の実家は、祖父が医療関係の仕事に就いていたこともあり、お金に少しゆとりのある家庭だったと思います。家や土地、預貯金など、私が思い浮かべるだけでもいくつかの資産がありました。しっかり者の祖父母のことだから、相続についても生前にきちんと準備しているのだろうと思っていたのですが……。
まさかの未対応
ふたを開けてみると、相続について具体的な準備はほとんどされていなかったようです。それでも私は、父なら何とかするだろうと考えていました。
父は、私が子どものころからとても厳しい人です。何事も前もって準備しておかないと気が済まないタイプで、私が結婚して実家を出てからも、「あれはどうなった?」「早めに対応しておいたほうがいい」と、ことあるごとに声をかけてきました。ありがたい反面、少しうんざりすることもあったのが正直なところです。
そんな父だからこそ、相続の手続きも早めに進め、冷静に解決するだろうと思っていたのです。

