大ダイを釣り上げたがこれはまだ序章に過ぎない
続けざまにヨッシーがアオハタを釣った。
ジャッカル・バンブルズジグTG SLJでの釣果である。
「正直、マダイ狙いのタダ巻きをしてたんだ(笑)。ズドンと動かなくなって、『おや?』と思ったら生体反応があったので、合わせて獲ったって感じ」
何かが起きそうな予感が、どんどん高まっていく。
のどかな内房の情景と、「はい、移動しま〜すよお〜」と五郎船長ののんびりとした口調とは裏腹に、緊張感が増す。
7時、イチロウこと鹿島一郎さんが、楽しそうにヤリトリをしてジャッカル・ビンビンメタルTGでイラを釣る。
爆発が始まったのは、その25分後、7時25分のことだった。
ジャッカル・フラッグトラップを使っていたイチロウに圧巻のビッグヒット。
「これは……マダイっぽい!」とイチロウが叫ぶ。
だがこの男、ヒット直後に「○○っぽい!」と叫ぶと、だいたい「○○」以外の魚を釣り上げるのだ。
「ホントかぁ?」
「ホントにマダイかぁ?」
半信半疑ながら、カンカンッと竿をたたくその引きは、まさにマダイのものだ。
ヨッシーも「これはホントに大ダイだ!」と確信の雄叫びをあげた。
アグレッシブな釣りが身上のイチロウの割には、慎重に、大事にヤリトリしている。
「着底してから2、3巻きしたところで、ズドンときたんですよ。マダイ……だと思います、ハイ」とイチロウ。
「カンカンッ」から「ゴンゴンッ」と、ものすごい引きだ。
じっくりと時間をかける。終わらないでほしい、5分弱。
ボコン!
海面が割れた。
巨大な魚がユラリと揺れている。
美しくもダイナミックな光景に、「……!」「……!!」と、声をのむような、E2F取材班ではなかった。
「イケ!」
「獲れ!」
「バラすなよ、バラすなよ!!」
「頑張れ!」
……うるさいのである。
五郎船長のネットに収まったのは、見事としか言いようがない4.7kgのマダイだった。
「うおおおぉぉ!」
「やった!」
「すっげぇ!」
もはやだれが釣ったのか分からない、喜びの入り乱れ。
10年かけて自己記録を更新したイチロウはもちろんのこと、それ以上に周りのみんなが盛り上がっている。
しかし、まだ序章だった。

底から5m上までていねいに探って釣り上げた良型のアオ ハタ
ヨッシーのロッドも曲がりこれまでにない大釣りとなる
イチロウの大ダイの興奮がまったく醒めやらぬ10分後、ヨッシーが「食った!」と叫んだ。
「これは間違いなく大ダイだよ!」と笑顔が炸裂する。
「ウソでしょ!?」
「そんなことってある!?」
ヨッシーが使っていたのは、先ほどまでと変わらずバンブルズジグTG SLJだった。
「タダ巻きしてたんだよ」とヤリトリしながらヨッシー。
やはりイチロウの大ダイを見て、マダイ狙いを崩さなかった。
それが功を奏した。
「ジグの重さがフッと軽くなったんだ。食い上げるような形になったんだと思う。そのまま巻いていたら重みが乗ったので、合わせた」
この面々で船釣りをするようになって、何年たったことだろう。
現在の「Enjoy Every Fishing(略してE2F)」というコーナータイトルになったより前からカウントすると、ざっと5年ほど過ぎている。
基本的に、船に乗って竿を出しているだけで楽しい気分になってしまう連中だ。
船の上では、釣り以外のくだらないトークで常に盛り上がり、釣果そっちのけでゲラゲラと笑い合う。
だが、当然我われは魚を釣るために船に乗っている。
入念な事前準備も含めて、ガチだ。
しかもヨッシーには「必ずやターゲットを釣り、写真に収めなければならない」という、プロとしてのプレッシャーもある。
ただ、釣れなければ楽しくないかと言えば、そんなことはない。
相当なツライ目も、笑い話にして吹き飛ばせる。
それに、釣れないときほど、「次、頑張ろうぜ〜!」とテンションが高まる。
そう簡単には方程式どおりにいかないところが釣りのだいご味だ、という共通認識を持っているのだ。
つまり、現在の「Enjoy Every Fishing」というコーナータイトルどおり、船に乗って竿を出せれば、釣り物がなんであれ、釣果がどうであれ、とにかく楽しいのである。


