●ダイエットのために買った側も違法になる?
結論から言えば、薬機法が罰しているのは、あくまで「売る側」や「貯蔵する側」です。マンジャロを買っただけの人を直接処罰する規定はありません。
ただし、次のようなケースでは罪に問われる可能性があります。
・「多めに買って、残りを友人たちに声をかけ、有償で譲った」
・「使わなくなった分をSNSで転売した」
このような場合は「無許可販売」「貯蔵」した当事者となり得るため、決して行わないでください。
●罰がなくても「買わない方がいい」理由
「罰則がないなら、自己責任で買えば問題ない」と思う方もいるかもしれません。しかし、マンジャロはそもそも医薬品であり、法律にとどまらない以下のようなリスクが高い行為です。
(1)重篤な健康被害が出ても、公的な救済が受けられない
正規に処方された医薬品で重い副作用がでた場合、「医薬品副作用被害救済制度」によって、医療費などの公的支援が受けられます。しかし、正規ルート以外で手に入れた薬は対象外とされており、副作用被害の救済はなく、すべて自己負担となります。
(2)偽造品を見分ける術がない
正規の方法以外で入手した薬が本物である保証はどこにもありません。有害な成分が入っている恐れもあれば、効果のない偽物をつかまされる恐れもあります。最悪の場合には、命に関わるリスクも出てくるでしょう。
(3)保管状況が劣悪であれば、効果は落ちる
マンジャロは高温環境で効果が落ちるとされ、適切な温度管理が必要な薬剤です。入手した薬がいい加減な保管をされていた物かもしれないというリスクがあります。
(4)被害にあっても、現実的に賠償請求は難しい
万が一、偽物をつかまされたり健康被害が出たりした場合、売り手に賠償を求めること自体は理論上可能です。しかし、SNS経由では相手を追跡することは困難なことが予想される他、健康被害と購入した薬の因果関係を証明するのは極めてハードルが高く、実際の請求は非常に難しいと思われます。
マンジャロは本来、医師の管理のもとで使う糖尿病の治療薬です。購入する側に罰則がないからといって、安易にSNSの個人売買に手を出すのは、健康被害も出かねない非常に危険な行為です。正規の処方とは異なる方法で使うことは避けるべきだと考えます。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

