橋本病と日常生活への影響

橋本病は日常生活に影響を及ぼしますか?
橋本病単体が日常生活に影響を及ぼすことはほぼありません。ただ、橋本病では甲状腺の腫脹がほぼ必発のため、喉元がすこし部分的に膨らんで見えます。
橋本病があるだけで、体調に大きな変化はないはずですが、美容的には多少の影響があるといえるでしょう。
また、橋本病から甲状腺機能低下症を発症した場合、継続的な服薬が必要です。
レボチロキシンという薬を内服することになるのですが、ほかの薬と同様、飲み合わせに若干の注意が必要です。例えば、以下の食品は吸収を妨げる可能性があります。
大量の大豆製品
食物繊維の多い食品:野菜ジュース、青汁、ダイエット食品など
コーヒー
これらを含む食品を摂取する場合は、レボチロキシンの内服を30〜60分程度あけて行うことが推奨されます。
また、カルシウム製剤、鉄剤を内服する際は、レボチロキシンの吸収を阻害することが知られています。このほかにも、ヨードうがい薬、胃薬や一部の脂質異常症治療薬、けいれん治療薬などもレボチロキシンとの相互作用が知られています。
詳しくは、薬剤師さんにお薬手帳を見てもらうか、薬局で薬をもらう際に一緒に渡される薬剤情報提供書をご参照いただければ幸いです。
橋本病でも妊娠や出産は可能ですか?
橋本病があっても妊娠や出産は可能です。ただし、可能な限り計画妊娠が望ましいです。
橋本病をもっている方では、甲状腺機能低下症まできたしていなくても、潜在性甲状腺機能低下症というその前段階の病態を呈している場合があります。
甲状腺ホルモンは、胎児の成長のために絶対に不可欠なホルモンです。このため、橋本病があり、甲状腺ホルモンの不足が危惧される場合は、妊活中や妊娠中の甲状腺ホルモン補充が必要な場合があります。
このため、橋本病とわかっている場合は、妊活を開始する前にホルモンの検査を受けて、必要に応じて妊娠に向けての準備を行いましょう。
橋本病は一生付き合う病気ですか?
橋本病で自己抗体の産生を止めたり少なくしたりする方法は現時点ではありません。このため、橋本病は生涯治癒することはありません。
ただし、橋本病と診断されても、治療が必要な状態、つまり、甲状腺機能低下症まで至るのは4~5人未満に1人で、全員ではありません。
また、甲状腺機能低下症の内服薬は、甲状腺機能亢進症の治療薬などと比べると重大な副作用が少ない薬剤であり、この薬をしっかり飲み続けることができれば、甲状腺機能低下症はそこまで恐れるべき病気ではありません。
参照:『橋本病』(内分泌学会)
橋本病の患者さんが日常生活で気を付けることを教えてください
橋本病の病勢の悪化にはよくストレスが関与します。例えば転職、結婚、離婚、本人や子どもの受験、介護、配偶者の死亡などでストレスがかかり、甲状腺機能が悪化する場合があります。
生きているあいだ、すべてのストレスから完全に逃れることは困難です。
なかなか難しいことではありますが、ストレスをあまり負担に感じないようにするもののとらえ方や、身の施し方が必要です。
編集部まとめ

新たに病気を指摘されたり、病気についてあらためて調べたりすると、懸念や不明なところがでてきて不安ですよね。
でも、橋本病があるだけでは死亡リスクは増えません。
問題は、甲状腺機能低下症をきたした場合ですが、これも内服をしっかりすれば問題になることは少ないです。
過度に気にしてストレスを抱えることなく、もし甲状腺機能低下症の症状が出たらすぐに治療できるように、自分の体調をすこしでも気に留めるようにしましょう。
参考文献
『橋本病(慢性甲状腺炎)』(内分泌学会)
『粘液水腫性昏睡』(内分泌学会)
- 「橋本病」を発症するとどんな「治療法」を行う?治療中の注意点も解説!【医師監修】
──────────── - 「橋本病を疑う初期症状」はご存知ですか?受診の目安となる症状も解説!【医師監修】
──────────── - 「橋本病で食べてはいけない食品」はある?食事で気を付けることも解説!【医師監修】
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