「指示待ち」を続ける夫に、ついに感情を爆発させた真央。逃げ場のない育児の重圧から、愛する我が子の手を振り払い、家を飛び出してしまう。母親としての自責の念と、どうしようもない絶望が彼女を支配していく。
「分からない」からやらない夫
「……ねえ、智裕。昼ごはんなんだけど」
昼過ぎ。リビングの空気は重く沈んでいました。 私は、なんとか子どもたちの分だけは「栄養を」と、野菜を刻んでリゾットを作りました。 けれど、寝不足で機嫌の悪い二人は、一口食べては皿をひっくり返し、スプーンを投げ飛ばします。 床に散らばる、私が必死に作った食事。
智裕は、おなかが空いているのでしょう。 チラチラとこちらを見て、私の様子を伺っています。
「いつになったら俺の飯、作ってくれるの?」という無言のプレッシャー。
「自分で作れば?」という言葉が喉まで出かかりましたが、それを言うエネルギーすら惜しい。 以前「自分で作って」と言った時、彼は「やり方わからないから、カップラーメンでいいや」と寂しそうに言い、結局その後片付けをするのは私でした。
教えてくれたら、と何もしない夫
「……ねえ、どうして自分から動いてくれないの?」
私は震える声で聞きました。
「え? 動いてるじゃん。ほら、子どもたちが投げたスプーン拾ったし」
「そうじゃない。全体を見てよ。ご飯がないなら炊く、汚れがあるなら拭く。どうして私が全部指示しなきゃいけないの?」
「だから……やったことないからわかんないんだって。教えてくれればやるって、いつも言ってるじゃん」
教えてくれれば。 その言葉が、今の私には「お前の負担を減らす気はない」と言われているようにしか聞こえませんでした。
1年半。双子が生まれてからずっと、私は一人で二つの命を背負って走ってきました。 智裕は、その後ろを「歩き方教えて」と言いながら、手ぶらでついてきているだけ。

