2児の母・初乃は、兄・英次一家の「叱らない育児」に限界を感じていた。生後2か月の息子のそばで、危険な遊びをくり返す甥のサトルと、スマホに夢中で注意もしない義姉の啓子。初乃は夫の啓二にくるしい胸中を吐露する。
私がつかれている理由
「あー…今日も、どっとつかれちゃったな」
深夜、生後2か月の息子・充を寝かしつけ、ようやくリビングのソファーに体を沈めた。
となりでは、4歳の娘・夢がスヤスヤと寝息を立てている。夫の啓二がキッチンからノンカフェインの紅茶を持ってきてくれた。
「初乃、おつかれさま。今日も兄さんたち、来てたんだろ?」
「うん…英次兄ちゃんと、啓子さんとサトルくん。ことわりきれなくて…。でも、もう限界かもしれない」
私の兄…英次は、わるい人じゃないけれど、とにかく妻の啓子さんの尻に敷かれっぱなし。その啓子さんの育児が、私にはどうしても理解できないのだ。
いわゆる「叱らない育児」…と言えば聞こえはいいけれど、私から見れば、それは単なる「放置」や「放任」にしか見えなかった。
甥っ子に注意をしない義姉
今日もそうだった。 私が充をベビー布団に寝かせておむつを替えていると、5歳の甥っ子・サトルくんがリビングのソファーにかけ上がった。
「サトルくん、あぶないよ!」
私が声をかけるよりはやく、サトルくんはニヤニヤしながらソファーからジャンプした。着地地点は、なんと充のわずか数センチよこ。
「ぎゃあああー!」
おどろいた充が、火がついたように泣き出した。心臓が止まるかと思った。
「ちょっと! 啓子さん、サトルくんあぶないです!」
私が必死に充をだき上げると、啓子さんはスマホをながめたまま、のんびりと口を開いた。
「サトル〜だめだよぉ〜。赤ちゃんびっくりしちゃうでしょ〜?」
それだけ。名前を呼ぶだけで、サトルくんを抱き寄せることも、目を見て諭すこともしない。
案の定、サトルくんは聞く耳を持たず、またソファーに登り始めた。

