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【会場レポート】約400点でたどる安西水丸の全仕事。PLAY! MUSEUMで新たな展覧会が開催中!【東京立川】

『がたん ごとん がたん ごとん』から、村上春樹、和田誠との仕事まで

『がたん ごとん がたん ごとん』作品展示風景『がたん ごとん がたん ごとん』作品展示風景

安西作品を語るうえで絶対に欠かせないのが、1987年に刊行された絵本『がたん ごとん がたん ごとん』です。

「絵本というのは字が読めない子どもでも楽しめて、毎日お母さんに読んでもらっていても、そのページに来たら必ず夢中になるものでなければいけない」との言葉を残す安西。まっ黒な汽車に、コップやスプーン、バナナやネコたちが次々と乗り込み終着駅へと向かう本作は、心地よい繰り返しのリズムと親しみやすい絵で、世代を超えて愛されてきました。

『中国行きのスロウ・ボート』装画 1983年『中国行きのスロウ・ボート』装画 1983年

一方で安西と親交の深かった人々の仕事にも注目しましょう。なかでもジャズ喫茶で出会い、長年にわたって交流を続けた村上春樹との仕事は大きな見どころのひとつ。安西が初めて装丁を手がけた村上作品の『中国行きのスロウ・ボート』は当時、編集者の反応が芳しくなかったといいます。

しかし今では「この装丁を見てデザイナーの道に進んだ」という声もあるなど、安西の代表作として知られています。

和田誠との仕事に関する作品展示風景和田誠との仕事に関する作品展示風景

高校時代から憧れの先輩であり、安西に多くの影響や刺激を与えたのが和田誠でした。2001年に二人で始めた展覧会「NO IDEA」から発展した共同制作では、一枚の作品を二人で完成させるというユニークな試みを2014年まで継続。その創造的なやり取りからは、安西の「あそび」の精神をあらためて感じることができます。

PLAY!ならではの「ホリゾン」体験!千倉の海が育んだ一本の線

『イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY』より、第二部「ぼくの水平線」展示風景『イラストレーター 安西水丸展 ぼくのあそび I DRAW TO PLAY』より、第二部「ぼくの水平線」展示風景

全長50mにも及ぶPLAY!ならではの楕円形の展示空間へと足を進めましょう。壁一面に並ぶのは、安西のトレードマークである「ホリゾン(水平線)」の作品群です。その数は約70点。近年アトリエで発見された原画や、それらをもとに制作されたジークレー版画(※)が一堂に公開されています。※インクジェットプリンターを用いたデジタル版画

安西が「ホリゾン」と呼んだのは、イラストレーションの画面を横切る一本の線のこと。この線が加わることで、コーヒーカップがテーブルの上に置かれているように、絵のなかに手前と奥の空間が生まれます。シンプルな線でありながら、安西作品を特徴づける重要な要素といえます。

第二部「ぼくの水平線」展示風景より、正面が新たに撮り下ろした映像「千倉の海」第二部「ぼくの水平線」展示風景より、正面が新たに撮り下ろした映像「千倉の海」

この展示空間のほぼ中央に映し出されているのが、安西が幼少期から中学卒業までを過ごした千葉県・房総半島の「千倉の海」の映像です。「紙にホリゾンを引くとき、いつも千倉の海の水平線が目に浮かぶのです」という言葉が示すように、彼にとって水平線は原風景そのものでした。

第二部「ぼくの水平線」作品展示風景第二部「ぼくの水平線」作品展示風景

作品を見ながら歩いていると、額の高さが少しずつ違っていることに気づきます。これは額ではなく、画面の中のホリゾンの位置を揃えているため。さらに千倉の海の映像の水平線とも高さが一致しており、会場全体をひとつの水平線がどこまでも貫いているかのような演出が施されているのです。

配信元: イロハニアート

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