糖尿病は特別な人の病気ではなく、毎日の“食の選び方”次第で誰にでも起こり得ます。実は、何気なく続けている習慣が血糖値を乱しているのだとしたら……? ヘルスマネージメントクリニック西新宿院長の宮元周作先生に、気づかぬうちに糖尿病リスクを高めているNG習慣や我慢しすぎずに血糖値をコントロールする無理のない食事術などを聞きました。
※2025年10月取材。

監修医師:
宮元 周作(ヘルスマネージメントクリニック西新宿)
宮崎大学医学部卒業。宮崎大学医学部附属病院臨床研修修了。社会福祉法人聖隷福祉事業団聖隷三方原病院後期研修修了。医療法人社団幹人会菜の花クリニック院長を務めた後2024年にヘルスマネージメントクリニック西新宿を開院。日本内科学会認定内科医、日本糖尿病協会会員、日本性感染症学会会員。
こんな食べ物が糖尿病を招く
編集部
食習慣による糖尿病リスクについて教えてください。
宮元先生
知っておいてほしい点があります。これからお話しする内容は、いわば“100点満点”の理想の話であるため、どこかで聞いた情報も含まれるかもしれません。しかし、その情報をどのように扱うかが大切です。実際の臨床現場で感じている事実として、誰もが食事指導や栄養指導のとおりにできるとは思っていません。人生には仕事や家庭など、さまざまな優先順位があります。私は「すべてを健康第一に変えましょう」と提案しているわけではありません。ご自身が大切にしている価値観はそのままで大丈夫です。ただ、その価値観を守りながら日々を元気に生き抜くために、健康を支える知識や行動を“サポート”として身につけてほしいと考えています。
編集部
それではまず、どんな食べ物が糖尿病を引き起こしやすいのですか?
宮元先生
糖分の多い清涼飲料水やスイーツ、白米や白いパンなど精製された炭水化物は、血糖値を急上昇させやすく注意が必要です。これらの食品は体内で素早く吸収され、インスリンの分泌を過剰に促します。その状態が長く続くと、インスリンの効きが悪くなり糖尿病の発症リスクが高まります。とくに清涼飲料水は、血糖値への影響力が予想以上に大きいため、惰性で飲むのは避けるべきです。大好きな飲み物であれば無理にやめる必要はありません。しかし、なんとなく惰性で飲んでいる場合は、水や緑茶などに置き換えることをおすすめします。
編集部
そのほかにも危険な食べ物はありますか?
宮元先生
揚げ物や加工肉などに多い飽和脂肪酸はインスリンの働きを妨げ、脂肪肝や動脈硬化のリスクを高めます。糖だけでなく「脂肪の質」にも気を配る必要があります。
編集部
果物も糖分が多いと聞きますが?
宮元先生
果物に含まれる果糖も、取りすぎは禁物です。ただし、ビタミンや食物繊維が豊富なため、適量を守れば問題ありません。また、果汁飲料には多くの糖分が含まれているため、飲み物としてではなく果物そのものを食べるようにしましょう。
編集部
具体的に避けたい食事の例はありますか?
宮元先生
「朝は菓子パンと甘いコーヒー」「昼は丼もの」「夜は揚げ物とアルコール」という食生活は典型的なリスクパターンです。忙しさを理由にこうした食事を続けていると、知らない間に血糖値を乱すおそれがあります。一度、ご自身の食事内容を振り返ってみてください。忙しい毎日の中で、すぐに改善するのは難しいかもしれません。そのため、まずはこうした知識を身につけるところから始めてみてください。今まで「大盛り」を注文していた人は「普通盛り」にするなど、小さな工夫を取り入れることをおすすめします。
こんな食習慣は糖尿病のリスクを上昇させる
編集部
気がつかないうちに行っている習慣が、糖尿病のリスクを上昇させる場合はありますか?
宮元先生
清涼飲料水と同様に、飲み物の選び方は重要です。例えば、缶コーヒーを飲みながら休憩する習慣は、糖尿病のリスクを大幅に上昇させます。
編集部
具体的な理由を教えてください。
宮元先生
1本の缶コーヒーにも大量の糖分が含まれているためです。「微糖」と表記されていても人工甘味料が使われている場合が多く、体内での代謝に大きな影響を与える可能性があります。そのため、缶コーヒーでの休憩は、少しずつ糖尿病のリスクを高める習慣といえます。
編集部
缶コーヒーにはそんなにリスクがあるのですね。
宮元先生
問題となるのは、砂糖やミルクが入ったものです。ブラックの缶コーヒーであれば、糖尿病に関連するリスクは高くありません。「丼飯の食べすぎは糖尿病につながる」と知っていても、「缶コーヒーが糖尿病のリスクになる」と気づいていない人は大勢います。しかし実際の臨床現場では、糖尿病への影響力は丼飯よりも缶コーヒーのほうが強いと感じる場面が多々あります。無意識に繰り返す習慣が、糖尿病のリスクを高めているケースは少なくありません。
編集部
そうなると、缶コーヒーをやめたほうがよいのでしょうか?
宮元先生
本当に好きで飲んでいるのであれば、無理に控える必要はないと考えています。好きなものを我慢しすぎるのはストレスにつながるためです。缶コーヒーが好きな場合は、ほかに見直せる生活習慣がないかを先に探してみてください。一方で、なんとなく惰性で缶コーヒーを飲んでいるのであれば、やめることをおすすめします。
編集部
その習慣が大好きで必要なものか、それとも惰性かを見極めるのですね。
宮元先生
好きなものは無理にやめず、惰性で続けている習慣から改善していくことで、生活の質を保ちながら健康レベルを引き上げられます。医師によって考え方は異なるため、かかりつけ医の指示に従うのが基本です。そのうえで「何のために糖尿病の治療や予防を行うのか」を考えると、おのずと自分に合った方法が見えてきます。

