博嗣は、別のアプリからも紀子に接触してくる。つわりにくるしむ優菜を尻目に、裏切りをつづける博嗣。先輩の佐代子に背中を押された紀子は、優菜に代わって彼を裁くため、接触を決意する。
他のアプリからも「いいね」が…
優菜の妊娠報告から数週間…。
なんと、別のマッチングアプリでも博嗣さんから、「いいね」がきたのだ。
婚活中の私は、2〜3個のアプリに登録していたが、博嗣さんも複数のアプリに登録しているらしかった。
(既婚者のくせに…)
本当に本人なのか…試しに、ひとつのアプリで「いいね」を返すと、「休みの日、なにしてるの?」「カフェめぐりとか好き?」などのメッセージがとどくようになった。
私は返信しなかったが、ふと、彼が「他の女性とも接触しているのではないか」…という不安が頭をよぎった。
つわりでつらそうな友人を見て…
ある夜、私は優菜の家に遊びに行った。
彼女はつわりがひどくなっているようで、ソファーに横たわっていた。
「紀子、ごめん……。せっかく来てくれたのに、うごけなくて」
「気にしないで。博嗣さんは?」
「今日は、仕事がおそくなるって。最近、接待とか飲み会が多くて…大変みたい。でも、帰ってくると私の背中をさすってくれるの。博嗣さんも仕事でつかれてるのに…やさしいよね」
優菜が切なそうにわらうのを見て、胸がしめ付けられた。
(仕事? 飲み会? アプリにログインしている時間を見たら、あやしさしかないけど…)
私はキッチンで飲み物を用意するふりをして、そっとスマホを取り出した。
アプリを確認すると、博嗣さんのステータスは「オンライン」。
優菜がこんなにくるしんでいるこの瞬間も…彼はスマホの向こうでだれかを口説こうとしている。
「……ゆるせない」

