最優秀主演男優賞から、ついに大河ドラマ主演へ
さらに役への没入度を極限まで高めたのは、日本アカデミー賞最優秀主演男優賞など、数々の映画賞を受賞した2024年の映画『正体』。死刑囚・鏑木慶一として、5つの顔を使い分け逃亡劇を繰り広げました。見た目だけでなく、姿勢、歩き方、声のトーンといった細部まで演じ分け、1人で全く別の人物に次々となり切っていきます。その中でも、触れ合う人々に「信じたい」と思わせる心根の優しさを持つ鏑木。
「死に物狂い」だったというアクションもさることながら、彼の必死の訴えは、生きようとする執念が激しくほとばしり、観る者を圧倒しました。こうした映画界での活躍から、ついに手にした2025年の大河『べらぼう』での主演という大役。横浜さん独特の「影」や「クールさ」は一旦封印し、情熱で仲間を巻き込み、時代を切り拓く江戸のメディア王・蔦屋重三郎を軽やかに好演しました。
『国宝』で表現した壮絶にもがき苦しむ葛藤
そして迎えたのが、邦画実写史上初となる200億円突破という歴史的快挙を達成した映画『国宝』です。もとより横浜さんは、中学生時に極真空手の世界大会で優勝するほど一つの事を極めることに長けており、役作りでスキューバダイビングやプロボクサーのライセンスも取得してきました。
そうした経験で磨き上げた静から動への振り幅と美しい所作を武器に、吉沢亮さんと1年半の修練を経て、歌舞伎女形を吹き替え無しで演じきります。また、歌舞伎の名門に生まれた大垣俊介として、血筋と才能の狭間でもがき苦しむ葛藤も痛いほどに表現。作中でも役者としてもライバルとしてしのぎを削ってきた吉沢さんと共に、歌舞伎という題材を超越した壮絶な「人間ドラマ」を創り上げたのです。
『国宝』の爆発的ヒットに大きく寄与した横浜さんは、主演でも助演でも作品全体を引き上げられる日本映画界を担う世代の中心的存在となったと言えるでしょう。

