年金分割の手続き
年金分割制度を利用するためには、特定の手続きが必要です。
これには通知書の受け取り方法、按分割合の協議プロセス、そして最終的な年金分割改定請求の手続きが含まれます。
また、年金分割に関する手続きは多くの場合、離婚を経験した本人が行うものであり、他人が代行することは原則として認められていません。
年金分割のための通知書の受け取り方法
年金分割を行うためには、まず日本年金機構から『年金分割のための情報通知書』を受け取る必要があります。
この通知書は、離婚届を出したからといって国から自動的に送られてくることはありません。
必ず夫婦のどちらかが、自ら年金事務所へ「年金分割のための情報提供請求書」という書類を提出して請求する必要があります。
なお、この書類は離婚後だけでなく、離婚前であっても請求して事前に取得することが可能です。
お互いの正確な厚生年金記録や、分割した場合のシミュレーション額が書かれているため、離婚前の話し合いには不可欠な書類です。
2026年現在、この事前の交付申請手続きはマイナポータルからオンラインで行うこともできるようになっています。
なお、離婚が確定した日から5年(2026年3月31日までの離婚なら2年)以内にこの通知書を基に年金分割の手続きを進めることが必要です。
年金分割の按分割合を協議するプロセス
通知書を受け取った後、次のステップは按分割合の協議です。
年金分割の割合は、原則として厚生年金加入期間中の夫婦双方の標準報酬月額の合計額を基に計算され、2分の1が最大の分割額となります。
しかし、割合は夫婦間の協議で変更することが可能です。
協議が難しい場合、家庭裁判所に申し立てることで裁判官による調停や裁定を受けることができます。
年金分割改定請求手続きの方法
按分割合の協議が完了したら「標準報酬改定請求書」を年金事務所や年金相談センターに提出して年金分割を請求します。
この請求書には、分割の割合や婚姻期間、離婚日などの情報が記載されます。 この手続きが完了すると、年金が分割されてそれぞれの年金額が確定します。
年金分割を検討する際の重要なポイント
年金分割を検討する際には、いくつかの重要なポイントを把握することが重要です。
これらは請求期限や再婚時の影響、さらには事実婚の場合の扱いなどです。
再婚後の年金分割
再婚した場合でも、前の配偶者との間で婚姻していた期間についての年金分割の権利は保持されます。
しかし、再婚後の配偶者と離婚した場合の年金分割は、その再婚期間中における権利についてのみとなります。
つまり、一度分割が行われた年金をさらに分割することはできません。
事実婚でも年金分割は可能?法的観点から見る
日本の法律では、年金分割は法的に認められた婚姻関係に基づいてのみ可能とされています。
つまり、事実婚(法的に結婚はしていないが実質的には夫婦のように生活を共にしている状態)では、原則としてお互いの話し合いによる「合意分割」を申請することはできません。
これは、年金分割の制度が法的な結婚・離婚の枠組み内で設計されているためです。
年金分割をすべて自由に適用したい場合は、正式な婚姻を結んだ上で、その後法的に離婚を行う必要があります。
しかし、事実婚(内縁関係)であっても完全に諦める必要はありません。
もし事実婚の期間中に、一方がサラリーマンや公務員の配偶者に扶養されており、日本年金機構から「国民年金第3号被保険者」として認められていた期間(いわゆる専業主婦・主夫としての期間)があるならば、事実婚の解消であっても国に対して「3号分割」を請求することが法的に認められています。
この場合、事実婚の解消(第3号被保険者の資格を失ったとき)の翌日から5年(2026年3月31日までの解消なら2年)以内に手続きを行う必要があります。
住民票の世帯主との関係が「未届の妻(夫)」となっているなど、客観的な関係性の証明書類が必要になりますので、該当する方は必ず年金事務所へ確認しましょう。

