介護で食事を食べない時の工夫や対処法

介護で食事を食べない時は、どのような声かけをするとよいですか?
介護で食事を食べない時は、急かしたり強く促したりするのではなく、本人のペースに合わせた穏やかな声かけを心がけることが大切です。例えば、「ゆっくり飲み込んでみましょう」「今からお食事の時間ですよ」など、短くわかりやすい言葉で伝えると、食事に意識を向けやすくなることがあります。
また、認知症の傾向がある方には、介助する方がそばで一緒に食事をしながら動作を見せることで、食べ方を思い出しやすくなる場合もあります。声をかける回数が多すぎるとかえって負担になることもあるため、様子を見ながら、安心感につながる落ち着いた関わり方を意識するとよいでしょう。
食事を無理なく食べてもらうためにできる工夫はありますか?
食事を無理なく食べてもらうためには、まず少しでも口にしやすい状態をつくることが大切です。一度にたくさん出すと負担に感じやすいため、最初は少なめに盛り付け、食べきれたら追加する形にすると取り組みやすくなります。
また、好物や食べ慣れたものを取り入れたり、ゼリー飲料やプリン、ヨーグルトなど食べやすい食品で栄養を補ったりする工夫もおすすめです。噛みにくさやむせがある場合は、やわらかくする、とろみをつける、小さく切るなど、その方の状態に合わせて形状を調整すると食べやすくなることがあります。
さらに、家族や介助者と一緒に食卓を囲む、食事の場所や雰囲気を少し変える、香りや彩りを意識するなど、食事の時間そのものを負担の少ないものにすることも大切です。何を食べたいか尋ねるときは、選択肢を絞って聞くと答えやすく、食べられそうなものを事前に準備しやすくなります。
このほか、処方できる経腸栄養剤や市販されている栄養補助飲料などもあるため、クリニックや主治医に相談してみるのもおすすめです。
家族が食事を嫌がるときに避けたほうがよい言動があれば教えてください
家族が食事を嫌がるときは、食べるように強く促したり、食べられなかったことを責めたりするような言い方を避けることが大切です。例えば、「もっと食べて」「少しだけでも食べて」「どうして残すの」といった声かけは、本人に焦りや負担を感じさせ、食事への苦手意識を強めてしまうことがあります。
また、一度にたくさんの料理を並べたり、食事の時間を厳密に守らせようとしたりすることも、かえって食欲を下げる要因になりかねません。健康を意識して味付けを薄くしすぎると、食事の楽しみが減ってしまう場合もあります。
大切なのは、食べることを義務のように感じさせないことです。本人の体調や気分、食べやすさに目を向けながら、負担になりにくい関わり方を意識するとよいでしょう。
介護で食事を食べない時、病院を受診したほうがよいサインはありますか?
介護で食事を食べない時は、数日たっても食欲が戻らない場合や、体重が減ってきた場合には受診を検討したほうがよいでしょう。特に、発熱、嘔吐、下痢、強いだるさ、腹痛、めまい、意識がぼんやりするなど、食欲低下以外の症状を伴うときは注意が必要です。
また、高齢の方は脱水や低栄養が進んでも気付きにくいことがあります。お口の乾燥、尿量の減少、眠気、ふらつき、元気のなさが続く場合も、早めに医療機関へ相談したほうがよいでしょう。さらに、食欲低下に加えて不眠や気分の落ち込み、無関心がみられる場合は、うつ状態や認知機能の低下が関わっている可能性もあります。
嚥下機能の低下や口腔トラブルは、どのようにチェックすればよいですか?
嚥下機能の低下や口腔トラブルを確認する際は、食事中や普段の会話の様子をよく観察することが大切です。以下のような変化がある場合は、嚥下機能の低下を疑うサインと考えられます。
・汁物や飲み物でむせやすくなった
・食べ物がお口の中に残りやすい
・固いものを避けるようになった
・食べこぼしが増えた
・飲み込みづらそうにしている
また、滑舌が悪くなった、お口の中が乾いている、歯茎の腫れや痛みがある、義歯が合っていない様子がある場合も、食べにくさにつながっている可能性があります。こうした変化が続くときは、加齢のせいと決めつけず、お口や喉の状態、義歯の不具合、病気や薬の影響を確認し、必要に応じて医療機関に相談しましょう。
編集部まとめ

ここまで介護で食事を食べない時の原因や対処法についてお伝えしてきました。介護で食事を食べない時の原因や対処法についての要点をまとめると以下のとおりです。
介護で食事を食べない時は、加齢による消化機能や嚥下機能の低下、口腔トラブル、病気、薬の影響、認知機能の低下、ストレスや環境の変化など、さまざまな原因が挙げられる
食事を食べない状態が続くと起こるリスクには、低栄養や脱水、筋力低下を招き、転倒や骨折、フレイルにつながる可能性がある
介護で食事を食べない時は、無理に食べさせようとせず、食べやすい形状や量、好みに合った食事、落ち着いて食べられる環境づくりを意識することが大切
食事量の低下は、体調や生活機能の変化に気付くきっかけになることがあります。日々の様子を丁寧に見守りながら、無理のない形で支えていくことが大切です。
これらの情報が少しでも皆さまのお役に立てば幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
参考文献
高齢者の食欲低下について〜年を取るとどうして食欲がなくなるの?~|国立研究開発法人 国立長寿医療研究センター
高齢者の低栄養予防|厚生労働省
食生活に要注意 -高齢者の低栄養はキケンー|地方独立行政法人 東京都健康長寿医療センター研究所
味付けや盛り付けを工夫、共食を楽しみましょう|農林水産省
お年寄りの方に食事を作るときのポイントを教えてください。|千葉県
高齢期の食事のポイント|京都市 京・けんこうひろば
嚥下障害 嚥下障害の症状と原因、そして対応と治療について|一般社団法人 日本耳鼻咽頭科頭頸部外科学会
高齢者の摂食嚥下(せっしょくえんげ)機能に影響する要因|公益社団法人 長寿科学振興財団 健康長寿ネット

