兄と対峙した初乃は、これまでの迷惑行為をリスト化して突きつける。そこで、兄が涙ながらに告白したのは、啓子によるすさまじい"家庭内モラハラ"の実態だった。外ではおっとりしたママを演じる彼女の、冷酷なウラの顔が判明する。
兄に本音をぶつけることに
兄からの「今週末も行くよ」という能天気なメッセージをムシしつづけ、私は夫の啓二に相談した。
「兄ちゃんと、一度差し向かいで話をしようと思う。啓二も、一緒についてきてくれるかな?」
「もちろん。俺も兄さんには一度、言いたいことがあったから」
週末、子どもたちを私の実家にあずけ、私たちは兄を喫茶店に呼び出した。
やってきた英次兄ちゃんは、どこかやつれた顔をしていたが、イスに座るなり、
「なあ初乃、そんなにおこるなよ。啓子も反省…はしてないかもしれないけど、天然なだけなんだって」
と、ちゃかすように笑った。
「兄ちゃん、わらいごとじゃないの」
私はしずかに、これまでのできごとを紙に書き出したリストを突きつけた。
サトルくんの危険な行動。夢への不適切な対応。撮影会での迷惑行為。そして、それらを一切止めようとしない兄と啓子さんの態度。
「これを見て…充は、一歩まちがえば大けがをしていたかもしれない。夢は、サトルくんに会うのをこわがるようになった。兄ちゃんが"自分の息抜き"のために私たちを利用するのは、もうゆるせない」
知らなかった兄夫婦の真実
啓二も身をのり出して言った。
「義兄さん…失礼ですが、今のあなたの家庭は異常です。啓子さんの顔色をうかがって、実の妹に負担を強いるのは、兄として、父親として無責任すぎませんか?」
その言葉に、兄は突然、顔をおおって俯いた。 肩が小刻みにふるえている。
「…わかってる。わかってるんだよ。でも、言えないんだ。啓子には、何も……」
しぼり出すような声で、兄が話し始めた内容は、私たちの想像を超えるものだった。
「啓子は家では別人のようなんだ。俺が何か意見を言えば"だれのおかげでこの家が回ってると思ってるの?"とどなられ、何時間も正座させられる。サトルの育児に口を出せば、"あなたは仕事だけしてればいい。口を出すなら離婚して、全財産置いていって"って……」

