「うちの子は大丈夫」と思っていても、SNSやインターネットを通じたトラブルは誰にでも起こり得ます。ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンスの研究員らは、12カ国の子どもを対象に、オンライン上の性的被害に関する調査を実施。その結果、インターネットを利用する子どもの約6人に1人が何らかの被害を経験していることを報告しました。この内容について伊藤先生に伺いました。

監修医師:
伊藤 有毅(柏メンタルクリニック)
精神科(心療内科),精神神経科,心療内科。
保有免許・資格
医師免許、日本医師会認定産業医、日本医師会認定健康スポーツ医
研究グループが発表した内容とは?
編集部
ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス・アンド・ポリティカル・サイエンスの研究員らが発表した内容を教えてください。
伊藤先生
研究員らは、東アフリカ、南部アフリカ、東南アジアの12カ国に住む12〜17歳の子ども1万1912人を対象とした調査データを分析しました。その結果、インターネットを利用する子どもの約6人に1人が、少なくとも1種類の性的被害を経験していることが分かり、対象国全体では1000万人以上に相当すると推計されました。多くの性的被害は周囲に打ち明けられておらず、被害の発見や支援につながっていない実態も明らかになりました。相談していたケースでは、警察や相談窓口などの公的機関よりも、友人など身近な相手に話す傾向が見られました。
また、年齢が高い子どもほど被害を打ち明けにくい一方で、保護者がインターネット利用を適切に見守っていることや、困ったときの相談先を知っていることは、被害を打ち明ける可能性を高める要因となっていました。研究チームは、子どもたちを守るために行政や法執行機関、テクノロジー企業が連携し、予防と支援体制を強化することが重要だとしています。
日本での子どもの性被害の現状について
編集部
日本での子どもの性被害について教えてください。
伊藤先生
政府広報オンラインによると、日本ではSNSをきっかけとした子どもの性被害が深刻な問題となっています。児童買春は減少傾向にあるものの、児童ポルノの被害は依然として高水準で推移しています。特に、子どもがだまされたり脅されたりして自分の裸の写真を撮影し、相手に送信させられる被害が増えています。また、SNSで知り合った相手から性的な被害を受けたり、撮影した画像を拡散すると脅されたりする事例も報告されています。近年は中高生だけでなく小学生の被害もみられるほどです。SNSを利用した犯罪は性被害にとどまらず、誘拐や殺人などの重大事件につながる場合もあります。
被害を防ぐためには、SNSで知り合った相手を安易に信用せず、個人情報や画像を送らないことが大切です。不安なことがあれば一人で抱え込まず、家族や学校、支援機関に相談しましょう。

