●「求刑27年」はどうやって算出した?
本件では、被告人は殺人罪・不同意わいせつ致死罪・監禁罪の3罪で起訴されているようです。
このうち殺人罪と不同意わいせつ致死罪の関係が問題となりますが、「1つの行為が2つの罪に当たる」(観念的競合)として、重い方の刑(基本的に殺人罪)で処罰される可能性があります(刑法54条1項)。
なお、わいせつ行為と殺害行為が1つといえるかどうか、という事案ごとの判断によるため、併合罪と扱われる可能性もありますが、以下は観念的競合とされた場合を考えます。
これに監禁罪が加わり、複数の罪を合算する処理(刑法47条・併合罪)が行われます。
刑法47条の規定では、有期刑の場合の上限は「最も重い罪の上限(殺人罪なら20年)の1.5倍(30年)」になります。
しかし、同条ただし書きで「各罪の上限の合計(殺人罪20年+監禁罪7年=27年)を超えてはいけない」という制限もあります。
今回の3罪の組み合わせでは、この合計がちょうど27年となる可能性があります。
このようにみていくと、検察官は、有期懲役の最高限度いっぱいを求刑したのでは?と考えられます。
●求刑を超える重さの判決を下すことは可能
なお、今回はあくまで「求刑」です。これは検察官の意見であり、裁判所を拘束するわけではありません。
裁判所は検察官の求刑意見に拘束されるわけではないため、無期懲役刑などを言い渡すこともできます。
ただ、検察官も類似の事件での量刑の傾向などを検討し、そのうえで求刑意見を述べているため、求刑以上の判決が言い渡されることは珍しいといえます。
また、仮にこれまでの量刑の傾向を大幅に超える判決を言い渡すのであれば、合理的な理由が必要と考えられます。
たとえば、懲役10年という検察官の求刑に対し、これまでの量刑傾向を大幅に超える懲役15年という判決を下したことについて、「具体的、説得的な根拠を示しているとはいい難い」として、懲役15年の判決を量刑不当として破棄した最高裁判例もあります(最高裁平成26年(2014年)7月24日判決)。
監修:小倉匡洋(弁護士ドットコムニュース編集部記者・弁護士)

