コーヒーは「脂肪燃焼を助ける」というイメージもあれば「飲み過ぎると太る」というイメージもあるように、相反する印象を持たれがちです。実際には、飲み方やタイミング、体質によって体への影響は大きく変わります。ダイエットとの関係を整理し、正しい付き合い方を高石内科循環器クリニック院長の高石博史先生に解説してもらいました。
※2025年10月取材。

監修医師:
高石 博史(高石内科循環器クリニック)
平成7年神戸大学医学部医学科卒業。神戸大学バイオシグナル研究センター研究員。加古川医療センター中央市民病院循環器内科医長、北播磨総合医療センター循環器内科主任医長、淀川キリスト教病院循環器内科部長、淀川キリスト教病院循環器内科主任部長・内科診療部長・地域医療連携センター長を歴任。循環器科・内科 不藤医院を継承し、高石内科循環器クリニックを開設。神戸大学医学部臨床教授、日本内科学会認定総合内科専門医、日本循環器学会専門医、日本心血管インターベンション治療学会認定医、日本医師会認定産業医、日本心不全学会・日本不整脈学会認定ICD/CRT治療医、ICLS・JMECCインストラクター、難病指定医・身体障害指定医。
コーヒーは痩せる? 太る?
編集部
「コーヒーダイエット」という言葉がある一方で、「コーヒーで太った」という声も聞きます。結局、コーヒーは痩せる飲み物なのでしょうか、それとも太る飲み物なのでしょうか?
高石先生
ブラックコーヒーそのものはほぼカロリーがなく、適量であれば体重増加の原因にはなりにくい傾向にあります。さらにカフェインの作用により一時的に代謝が高まり、脂肪分解が促進される可能性もあります。そのため、「コーヒーダイエット」という言葉が聞かれるのだと考えられます。
編集部
では、コーヒーを飲むと痩せるのですか?
高石先生
カフェインや、ポリフェノールの一種であるクロロゲン酸などの成分が代謝を促すため、脂肪燃焼を助ける働きが期待されています。ただし、それだけで大幅な減量につながるわけではありません。あくまで生活習慣全体の中での補助的な要素と考えることが大切だといえます。
編集部
インスタントコーヒーでもダイエット効果はありますか?
高石先生
はい、効果は期待できます。ドリップコーヒーに比べるとクロロゲン酸の含有量はやや少なめですが、カフェインはしっかり含まれています。手軽に続けられるという点では、習慣化しやすいインスタントコーヒーも有効な選択肢と言えるでしょう。
カフェインの作用
編集部
カフェインが体の中でどのような働きをしているのか、そのメカニズムを教えてください。
高石先生
カフェインには主に脂肪の分解を促進するという働きがあります。カフェインを摂取すると、交感神経が刺激されてアドレナリンが分泌されます。すると、脂肪細胞にあるリパーゼという酵素が活性化され、体内に蓄えられた脂肪を「遊離脂肪酸」へ分解します。遊離脂肪酸はエネルギー源となりやすい物質であるため、脂肪の分解が促進されるのです。
編集部
そのほか、カフェインはどんな働きをしていますか?
高石先生
基礎代謝を向上させるという働きもあります。カフェインは骨格筋の活動を活発にし、熱産生を高めます。個人差はあるものの、カフェインの摂取によって一時的に代謝が活発になり、エネルギー消費をサポートすることを示唆する研究報告もあります。
編集部
それでは、カフェインをたくさん摂取すると痩せ体質になるのですか?
高石先生
いえ、必ずしもそういうわけではありません。カフェインの効果には個人差が大きく、また、過剰に摂取するとめまいや動悸、不眠症などの副作用が生じることもあります。近年の研究では、コーヒーに対する反応の強さが人によって異なるのは、遺伝子の違いが関係していることが分かってきました。つまり、「コーヒーに感受性が高い人」と「低い人」が、生まれつきある程度決まっている可能性があるのです。こうした背景から、コーヒーと健康の関係は、医学の分野でも注目されているテーマの一つとなっています。
編集部
個人差はあっても、飲み過ぎはよくないのですね。
高石先生
はい、さらにカフェインには依存性もあり、急にやめると頭痛や倦怠感が出る場合もあります。健康な成人では1日400mg程度が目安とされており、これは平均的なマグカップ(237mL)でいうと3杯という計算になります。ただし個人差が大きいため、自分の体調を観察することが重要となります。

