子どもの足が臭い原因は「汗」ではない
コロナ禍を経て、手洗いとうがいはすっかり日常の一部になりました。その一方で江藤先生は、「足についてはどうでしょう?」と問いかけます。

日本臨床皮膚科医会会⾧、あたご皮フ科副院⾧ 江藤隆史先生
今年3月、久光製薬が3~15歳の子どもを持つ全国の親1,570人に対して調査した結果、帰宅後の手洗い・うがいは広く定着しているのに対し、足洗いは習慣化されていないことがわかりました。

「手洗い・うがい」と「足洗い」の実施状況を比較したもの。子どもの「手洗い・うがい」は約8割が習慣化しているにもかかわらず、「子どもに足洗いを促している」という親は3割弱、「子どもの足を洗ってあげている」という親は2割未満にとどまっている
また、「足のにおい」の原因に対する認知度を調べたところ、約4割の親が、においの原因は「足にかいた汗」だと回答。しかし江藤先生によると、「実は、足の裏にかく汗そのものに、においはない。足の裏にかく汗は脇汗とは違って水分が多く、サラッとしている」と解説し、多くの親が誤解をしていることが明らかになりました。

「足のにおいの原因が雑菌であること」を知らなかった親は約7割
では、なぜ足はにおってしまうのでしょうか。その原因は、靴の中にたまった汗や皮脂、古い角質を、足の裏にいる菌が分解することにあります。この分解の過程で、においが発生するのです。

足の裏のにおいの発生メカニズム
しかも、足の裏はもともと汗腺が多い場所。さらに子どもは体が小さいぶん、汗腺の密度が高く、より汗をかきやすいという特徴があります。
同調査では「家族の中で足のにおいが一番気になるのは子ども」という結果も紹介され、日常の中で思い当たる家庭も少なくないようです。

家族の中で「足のにおい」が最も気になる人物
足を洗う時間を親子のコミュニケーションに
そこで江藤先生は「帰宅後の足洗い」という新しい習慣を提案。帰宅してすぐに足を洗う時間は、単なる衛生習慣ではなく、親子のコミュニケーションにもなるといいます。子どもにとっても、足を洗ってもらうことは意外と好印象で、「気持ちいい」「リラックスする」といった反応も多いそう。忙しい毎日の中でも、ほんの数分のケアが、親子のちょっとした触れ合いの時間になりそうです。

3~9歳の子どもと同居している親に調査。帰宅直後の「足洗い」は、「さっぱりしたと喜んでいる」「気持ちよさそうにリラックスしている」など、子どもがポジティブな反応を示した

10歳以上の子どもに足のにおいを指摘した場合でも、「素直に受け入れて自分で洗うようになった」が約半数という結果に。反発されたり、不機嫌になったりという反応は少なかった
当日は、正しい足の洗い方の実演も行われました。ポイントは「やさしく、ていねいに」。足洗いの流れを順番にまとめると、次の通りです。

足洗いの実演

①38〜40℃のお湯に足をくるぶしまで入れて、数分温める
②洗浄料をしっかり泡立て、泡で包み込むように足全体をやさしく洗う。足の指、指の間は特にていねいに
③指の間や爪のまわりなど、汚れがたまりやすい部分は特に念入りに。使い古しの歯ブラシなどを使ってもよい
④泡が残らないようにしっかりすすぐ
⑤タオルで水分を押さえるように拭き取る
⑥クリームなどでしっかり保湿する
特に大切なのは、「ゴシゴシ洗わないこと」と「しっかり乾かすこと」。水分が残っていると、せっかく洗ってもまた菌が増えてしまうため、指の間までタオルで吸い取るようにていねいに拭くのがポイントです。
一方で気になるのが、工程⑥の保湿クリームを塗ったあと床がベタベタになる問題。これについて江藤先生は、「保湿クリームを塗って2分ほど経てば必要な成分は浸透しているので、その後に肌表面を拭き取っても問題ありません。気になる場合はスリッパを履いてもいいでしょう」とコメント。さらに、「さらっとしたローションタイプを選ぶ」といった工夫も紹介されました。
「しっかり保湿=床のベタベタを我慢」ではなく、暮らしや好みに合わせて調整してよいのであれば、足洗いも取り入れやすそうです。
