シェーグレン症候群(シェーグレン病)は、涙や唾液を作る腺に炎症がおこってしまう、女性に多い病気です。いくつかあるといわれている原因や早期発見のポイントを解説します。

監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学医学部血液・免疫・感染症内科)
【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)
診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科
シェーグレン症候群の原因

なぜシェーグレン症候群を発症するのですか?
シェーグレン症候群の原因は、現在の医学でもまだ明確にはわかっていません。自己免疫疾患の一つで、本来は細菌やウイルスから身体を守るはずの免疫システムが、何らかのきっかけで自分の涙腺や唾液腺などを異物とみなして攻撃してしまうことで炎症が起こると考えられています。免疫の異常がおこるきっかけとして、遺伝的な体質に加え、ウイルス感染などの環境要因が関わる可能性が指摘されています。しかし特定の原因が証明されているわけではありません。また、女性に多く中年期に発症しやすいことから、女性ホルモンなどの影響も推測されていますが、現時点では複数の要因が重なって発症する病気と理解されています。
シェーグレン症候群において免疫が自分の身体を攻撃するとはどういうことでしょうか?
シェーグレン症候群は、自己免疫疾患と呼ばれる病気の一つです。本来、免疫は細菌やウイルスなどの自分ではないものを見分けて排除することで、身体を守る働きをしています。ところが自己免疫疾患の状態では、この仕組みに異常が起こり、自分自身の成分に対しても免疫反応が起きてしまいます。シェーグレン症候群では、主に涙腺や唾液腺にリンパ球と呼ばれる免疫細胞が集まって炎症を起こし、結果として涙や唾液をつくる細胞が傷み、分泌が低下すると考えられています。さらに、全身の外分泌腺や臓器にまで病変が広がる場合もあり、関節痛や倦怠感、肺・腎臓などの障害がみられることがあります。
シェーグレン症候群の患者数を教えてください
厚生労働省研究班による全国調査で、日本にはおよそ66,300人のシェーグレン症候群の患者さんがいると報告されています。参照:『53シェーグレン症候群』(厚生労働省)
医療機関での検査でシェーグレン症候群の原因を教えてください
医療機関で行う検査では、シェーグレン症候群になった理由そのものを突き止めることはできません。検査の目的は、シェーグレン症候群かどうかを確かめることと、身体のどの部分にどの程度の影響が出ているかを調べることです。血液検査や眼やお口の検査の結果を総合して、自己免疫の異常により涙腺や唾液腺が障害されている状態かどうかを診断します。しかし発症のきっかけそのものを検査で直接示すことはできないのが現状です。
シェーグレン症候群の発症に関わるとされる要因

シェーグレン症候群は遺伝する病気ですか?
シェーグレン症候群は、親から子へ必ず受け継がれる典型的な遺伝病ではありません。難病情報センターによると、同じ家系のなかで膠原病がみられる頻度は約8%、そのうちシェーグレン症候群がみられる頻度は約2%です。この疾患は特定の一つの遺伝子異常だけで発症が決まるわけではなく、生まれつきの素因と、環境要因などが組み合わさって発症する多因子性の病気です。参照:『シェーグレン症候群(指定難病53)』(難病情報センター)
ウイルス感染症やストレスなどがきっかけでシェーグレン症候群を発症することはありますか?
ウイルス感染やストレスが、シェーグレン症候群の唯一の原因と断定されているわけではありません。ただし、現在の医学では、この病気は生まれつきの素因に、さまざまな環境要因が重なって発症する多因子性の病気と考えられています。環境要因の候補の一つとしてウイルス感染が挙げられています。具体的なウイルス名を含め、どの感染症がどの程度関わっているかは、まだ明確には証明されていません。また、強い精神的ストレスや慢性的な疲労などは、自己免疫疾患全般で症状の悪化や発症のきっかけとして議論されることがあります。しかし、ストレスだけを単独の原因とみなすことはできません。現時点では、遺伝的素因に、感染症やホルモンバランスの変化、ストレスを含む環境要因が複雑に関わり合い、結果として発症に至ると理解するのが妥当です。
なぜシェーグレン症候群は女性に多いのですか?
シェーグレン症候群の男女比は約1:17で、患者さんの大部分が女性です。なぜこれほど女性に多いのか、現在のところ一つの原因に特定されているわけではありません。この病気は、遺伝的要因、ウイルス感染などの環境要因、免疫の異常、女性ホルモンの要因など複数の要因が関わる多因子性疾患と位置づけられています。そのなかで女性ホルモンの関与が男女差の背景の一つとして考えられています。しかし、原因は女性ホルモンだけで説明できるわけではなく、複数の要因が重なって女性に多くみられると理解されています。
参照:『シェーグレン症候群(指定難病53)』(難病情報センター)

