自身のセクシャリティに気づいたきっかけ
――現在、岡本さんは「ノンバイナリーモデル」という肩書で活動されていらっしゃいます。岡本:今はもう性同一性障害と診断されていて、厳密に言えばトランスジェンダーなんです。だけど、僕はトランスジェンダーでも中性寄りなんですね。且つ、自分は完璧な女性になるということを諦めているので。
じゃあ、せっかくなら男に生まれたし……というのもあり、「男性的なモデルもやろう。でも、女性的なモデルのほうが得意分野だ」「両方できるし、自分のセクシャリティはトランスジェンダー寄りの中性……ノンバイナリーだから『ノンバイナリーモデル』じゃん」ということで、ノンバイナリーモデルと名乗っています。
――ご自身のセクシャリティにはいつから自覚的だったのでしょうか?
岡本:中学2年生からです。当時、塾に通っていたんですけど、僕がペンで数式を書いているとき、ペンを持つ右手の小指が立っていたんです。それを見た同級生から「お前、小指立ってるな。女なんじゃねえのか!?」と指摘されて。
――中学生っぽいイジりですね。
岡本:そうですね。まあ、男子だから「やめろよ。女じゃねえよ!」みたいなことを言ったほうがいいのかなと思いつつ、「女なんじゃないのか?」と言われたとき、なんかしっくり来て「確かに」みたいなリアクションをしたんですよね。
で、家に帰ってから「『女だろう』と言われ、自分は男なのになんで違和感がなかったんだろう?」と考えて出た結論が「自分って女性なんじゃない?」という。
――今は、ノンバイナリーモデルとしてどんな活動を行っているのでしょうか?岡本:全国を回っていろんなファッションショーやファッションイベントに出るのですが、特にユニセックスブランドのブランドモデルやアンバサダーを務めたりしています。ファッションショーでは中性的だったり女性的な服を着ながら、ときにはがっつりメイクしたり、またあるときはあまりメイクをしないみたいな感じです。
――まさに、ノンバイナリーですね。
岡本:そうなんです。だから、性別を取っ払った衣装を作るデザイナーさんたちによく起用していただいています。
自身のセクシャリティに悩む人に伝えたい言葉
――昨今、時代は流れがいい形に変わってきていると思うのですが、今も自分のセクシャリティについて悩む人、苦しんでる人はいます。そういう人たちに声をかけるとしたら、どんな言葉になりますか?岡本:自分が思ってる以上にめずらしいことじゃないよって。
――そうなんですよね。「自分の周りにそういう人はいない」と言う人がいますが「いや、君に言ってないだけだよ」っていう。
岡本:全然めずらしいことじゃないし、それが原因で自分が属していたコミュニティから村八分に遭って追い出されたとしても、自分のセクシャリティに近い人たちと一緒に新しいコミュニティを築けばいいし。今ある環境がダメなら次の環境に行けばいいって、僕は10代で学んだので。
――先ほど伺った、高校進学で環境をリセットしたという話につながりますね。最後に、今後の目標を教えてください。
岡本:もっと、メディアでの露出を増やしたいなと思っています。ファッションショーって、モデルが主役じゃないんです。主役はあくまで服で、モデルはいわば“動くマネキン”なんです。
もちろん、その活動は好きなので続けていきたい。でも、プラスして自分の思ってることや過去の経験から得たものを話せば、誰かの救いになるとまでは言わないまでも、人生を生きるためのちょっとしたアドバイスになれたら……と思っています。だから、いろいろなことをしゃべれるテレビ、ラジオ番組などでのメディア露出を増やしていけたらいいなと考えています。
<取材・文/寺西ジャジューカ>

