原因ごとの治療アプローチ
編集部
夜間頻尿の治療はどのように行われますか?
矢野先生
まずは主な原因を見極め、それぞれに必要な治療を行います。具体的には、膀胱の蓄尿障害か、夜間多尿か、睡眠の問題かに分類します。蓄尿障害の場合は、前立腺肥大症や過活動膀胱など、原因となる疾患に対して治療を行います。
編集部
夜間多尿に対する治療についても教えてください。
矢野先生
排尿日誌の記録に基づいた生活指導や、薬物療法を行います。まず飲水量や飲水のタイミングに問題があれば指導し、食生活に注意して塩分制限を指示する場合もあります。男性では抗利尿ホルモン薬を用いて夜間の尿量を減らす治療を行うケースがあります。使用が難しい場合や女性では利尿薬を使う場合もあります。睡眠障害が関与している場合には睡眠の治療を併せて行うほか、服用中の薬が影響している場合は、処方医と相談のうえ調整を検討するなどして対応します。
編集部
ほかの病気や薬が原因の場合もあるのですね。
矢野先生
はい。心不全や高血圧、糖尿病、睡眠時無呼吸症候群、うつ病などが関係している場合は、それぞれの疾患に対する治療が重要です。必要に応じて専門の診療科と連携しながら、全身の状態を踏まえて対応していきます。
編集部
最後に、読者へのメッセージをお願いします。
矢野先生
夜間頻尿は、下部尿路症状のなかでも頻度が高く、日本の推定患者数は4000万人以上といわれています。高齢者の場合、夜間頻尿による転倒リスクの上昇から、骨折の発生頻度が約2倍になるとの報告もあります。高齢化が進む日本において、夜間頻尿の適切な診断と治療は、患者さんのQOL(生活の質)向上や転倒予防の観点からも、今後ますます重要性が高まると考えられます。
編集部まとめ
夜間頻尿は年齢のせいと片付けられがちですが、背景にはさまざまな原因が関係しています。原因に応じた治療で改善が期待できるケースも多いため、早めの受診が重要です。気になる症状がある場合は、我慢せずに専門医へ相談しましょう。

