初乃たちは証拠あつめにのり出し、啓子のおそろしい暴言を記録する。弁護士を介して着々と離婚準備を進める中、何も知らない啓子は、初乃に厚かましい要求をくり返す。ついに兄が直接、啓子に離婚と決別を言いわたした。
モラハラの証拠集めにうごき出す
兄の告白をうけて、私たちはただの「身内のなやみ」ではない事態に直面していることを悟った。
「兄ちゃん、それは立派な虐待…だしモラハラだよ。啓子さんとこのまま一緒にいたら、兄ちゃんもサトルくんもこわれてしまう」
私は兄をはげまし、まずは事実を確認するためにうごくことにした。
兄の同意を得て、兄の自宅の目立たない場所にボイスレコーダーを設置し、日々の啓子さんの言動を記録することにしたのだ。
一週間後。兄が持ってきたレコーダーには、耳をうたがうような怒声が録音されていた。
「あんたみたいな低所得の男が!私に意見するなんて100年はやいのよ!」
「サトル! あんたもパパみたいになりたいの? 言うこと聞かないなら、夕飯抜きだからね!」
想像以上にひどい義姉のモラハラ
あの「だめよ〜」という抜けたようなおっとりとした声とは似ても似つかない、するどく冷酷な声。
さらには、兄に対して、「あんたさあ、初乃の家に行って、うまく取り入って家電でも買わせなさいよ」と指示する声まで入っていた。
「……最低だ」
啓二がこぶしを握りしめる。
「初乃…これはもう話し合いで解決するレベルじゃない。専門家の力を借りよう」
私は知り合いのツテをたより、家庭問題につよい弁護士を紹介してもらった。
弁護士は録音データを確認すると、力づよくうなずいた。
「これだけの証拠があれば、モラハラによる離婚、および親権の確保は十分に可能です。特に、お子さんへの心理的虐待の可能性も危惧されますから、迅速にうごきましょう」
作戦は慎重に進められた。
兄は平然を装って啓子さんと接しながら、水面下では弁護士と共に着々と離婚調停の準備を進めた。

