ついに奈々は夫にウソをつき、マサとの密会を決意。マサは「独立」や「資金計画」という言葉を出し、徐々に金銭のにおいをただよわせる。静香は、マサが奈々の一途さを利用し、彼女を破滅へ導こうとしていると確信する。
彼に「会いたい」と言い出す
奈々の「沼」は、日に日にふかくなっていくようだ。 ついに彼女は、ご主人にウソをついて、「マサさんに会いに行く」と言い出した。
「ちょっとだけ…お茶するだけだから。彼のお店じゃないところで、2人きりで…ちゃんと話したいの」
「奈々…それ、一歩越えたら、もどれなくなるよ?」
「わかってる…でも、このままじゃ息が詰まって死んじゃいそうなの。静香だって、毎日ご主人にムシされるような生活、たえられないでしょ?」
奈々の言葉は、半分はご主人へのあてつけのように聞こえた。
たまにグチを聞いていたが、奈々のご主人は最近仕事がいそがしく、家では寝るだけの生活がつづいていたようだ。
(だからといって、不倫をしていい理由にはならないよ…)
軽薄さが見えかくれする相手の文章
マサさんとのやり取りを見せてもらうと、そこには狡猾なテクニックがちりばめられていた。
「奈々、今日は子どもの誕生日だったね。おめでとう。俺がパパなら、もっと豪華に祝ってあげられたのに」
「そんなにムリしないで。いつでも俺のところに来ていいんだよ。きみたちを養う準備もできてる」
文字だけ見れば情熱的だが、私には「口先だけ」の男特有の軽薄さが透けて見えた。
本当に奈々を大切に思うなら、家庭をこわすような言葉を投げかけるだろうか。子どものしあわせをねがうなら、母親を不安定な立場に追い込むだろうか。
「マサさん…近々、独立するって言ってるの。すごいよね!自分のお店を持つんだよ。その時は私に手伝ってほしいって」
「独立? お金はどうするの?」
「少しずつ貯めてるみたい。でも、投資とかも勉強してて、すごく向上心がある人なんだよ」

