喫煙習慣がある人や、お酒を飲むとすぐ顔が赤くなる人は、食道がんのリスクが高いといわれています。何も症状がなければ「本当に内視鏡検査が必要なの?」と疑問に思う人も多いでしょう。今回は、検査を勧められる理由や受ける目安について、佐藤内科診療所院長の佐藤先生に聞きました。
※2026年5月取材。

監修医師:
佐藤 泰弘(佐藤内科診療所)
1989年、東邦大学医学部卒業。1992年、東京慈恵会医科大学附属病院第一内科(現・消化器・肝臓内科)入局。2004年に東京慈恵会医科大学内視鏡科へ移籍、診療医長に任命される。生まれ育った神奈川区(横浜市)の地域医療に貢献したいと、2006年に済生会神奈川県病院内視鏡センター長に就任。東京慈恵会医科大学内視鏡科非常勤診療医長を併任。三代目として佐藤内科診療所副院長に就任。2013年、医療法人社団桐藤会 佐藤内科診療所院長に就任。医学博士、日本医師会認定産業医、日本消化器内視鏡学会専門医・指導医、日本消化器病学会専門医・指導医、日本内科学会認定医。
食道がんのリスクが高い人とは
編集部
飲酒時に顔が赤くなる人は食道がんのリスクが高いと聞きました。本当でしょうか?
佐藤先生
はい。その可能性はあります。飲酒時に顔が赤くなる人は、アルコールを分解する酵素の働きが弱い体質であることが多く、発がん性物質であるアセトアルデヒドが体内に長く残りやすいとされています。この影響により、食道の粘膜が傷つきやすく、食道がんのリスクが高まることが知られています。もともと飲めなかったけれど徐々に飲めるようになった人は、注意が必要です。
編集部
ほかに、食道がんと関係が深い人の特徴はありますか?
佐藤先生
喫煙する習慣がある人も注意が必要です。タバコに含まれる有害物質が食道の粘膜に慢性的なダメージを与え、がんの発生リスクを高めます。さらに、飲酒と喫煙が重なるとがんのリスクは相乗的に高まることが分かっています。そのため、両方の習慣がある人は、より一層の注意が必要です。
編集部
症状がなくても検査を受けたほうがよいのでしょうか?
佐藤先生
はい。リスクの高い人は症状がなくても検査が必要です。食道がんは初期には自覚症状がほとんどないことが多く、症状が出たときには進行しているケースもあります。特に、飲酒で顔が赤くなる体質に加え、喫煙習慣がある人は、早期発見のためにぜひ上部消化管内視鏡検査を受けてください。
編集部
どのくらいの頻度で検査が必要でしょうか?
佐藤先生
検査の頻度は個々のリスクや生活習慣によって異なりますが、一般的には年に1回程度の定期検査が推奨されます。飲酒と喫煙の習慣がある人や、食道がんの家族歴がある場合は、医師と相談しながら適切な間隔で検査を受けることが重要です。
上部消化管内視鏡検査とは
編集部
上部消化管内視鏡検査とは、どのような検査でしょうか?
佐藤先生
上部消化管内視鏡検査は、口や鼻から細いカメラを挿入し、食道や胃、十二指腸の粘膜の状態を直接観察する検査です。比較的短時間で行うことができ、炎症や潰瘍、ポリープ、がんの有無などを確認できる点がメリットです。必要に応じて組織を採取し、詳しく調べることも可能です。
編集部
検査では、どのような病気が見つかるのでしょうか?
佐藤先生
食道、胃、十二指腸まで幅広く見ることができるので、いろいろな病気を見つけられます。例えば食道だけでも、食道がんのほか、逆流性食道炎や食道潰瘍、バレット食道(食道粘膜が胃粘膜のように変化した状態)など、さまざまな病気を確認できます。初期のがんは症状がほとんどないため、検査で偶然見つかることも少なくありません。
編集部
内視鏡検査はつらいイメージがありますが、今も変わらないのでしょうか?
佐藤先生
以前は「つらい検査」というイメージが強かったかもしれません。ただし、現在は医療技術の進歩によって、細径内視鏡でも高画質のものもあり、体への負担は大きく軽減されています。さらに、必要に応じて鎮静剤を使用し、リラックスした状態で検査を受けることも可能です。多くの医療機関で苦痛をなるべく抑える工夫がされているため、不安がある場合は事前に相談しておくと安心です。
編集部
検査時間や流れを教えてください。
佐藤先生
検査自体は通常5〜10分程度で終了します。事前に喉の麻酔や鎮静剤を使用し、その後内視鏡を挿入して観察を行います。検査後は少し休んでから帰宅となります。鎮静剤を使用した場合は当日、車の運転を控える必要があるため、公共交通機関を利用したり、家族に送迎してもらったりしてください。

