膠原病とは、病原微生物などから身体を守るための免疫が異常をきたし、自分自身を攻撃してしまう病気の総称です。関節や皮膚、血管、内臓など全身に炎症を起こします。症状の現れ方や障害される臓器は患者さんによって大きく異なるため、どのような検査をするのかわかりにくく感じるかもしれません。
この記事では、膠原病が疑われたときに行われる検査の全体像と、それぞれの検査で何がわかるのかを解説します。

監修医師:
林 良典(医師)
名古屋市立大学
【経歴】
東京医療センター総合内科、西伊豆健育会病院内科、東京高輪病院感染症内科、順天堂大学総合診療科、NTT東日本関東病院予防医学センター・総合診療科を経て現職。
【資格】
医学博士、公認心理師、総合診療特任指導医、総合内科専門医、老年科専門医、認知症専門医・指導医、在宅医療連合学会専門医・指導医、日本緩和医療学会認定登録医、禁煙サポーター
膠原病が疑われたときに行われる検査の全体像

膠原病の診断に必要な検査の項目を教えてください
膠原病の診断のために必要な検査は大きく2種類に分けられます。一つは、膠原病により身体に異常が起こっていることを指し示す検査です。異常を起こしやすい部位は膠原病により異なるため、それぞれ疑わしい疾患にあわせて検査を選ぶ必要があります。
例えば、関節リウマチは複数の関節に炎症をきたすため、炎症を示すCRPという血液検査が高値になりやすいです。また、炎症の結果である変形や破壊の有無や程度を調べる関節レントゲン、関節の炎症を調べるエコーやMRIなどの画像検査を行うこともあります。
全身性エリテマトーデスという疾患は腎臓に病変を認めることがあります。この場合、蛋白尿や血尿などの尿検査異常があるか確かめるとともに、腎機能の悪化がないか血液検査で調べる必要があります。
多発(性)筋炎/皮膚筋炎という病気は、筋肉の炎症をきたします。そのため、クレアチニンキナーゼ(CK)という筋肉由来の成分が血中に増加している所見が認められます。
もう一つは、膠原病に特徴的な免疫の異常を調べるための検査です。関節リウマチであればリウマチ因子や抗CCP抗体、全身性エリテマトーデスであれば抗ds-DNA抗体や抗Sm抗体というように、疾患ごとに特徴的な検査があります。
なお、一部の膠原病において抗核抗体という自己抗体が陽性になることが知られています。細菌など病原微生物を識別して攻撃するための免疫の構成要素を抗体と呼びます。自己抗体とは誤って自身の身体の一部をターゲットにしてしまう抗体を指します。
抗核抗体は細胞の核に対する自己抗体であり、上述の抗ds-DNA抗体や抗Sm抗体などもこのなかに含まれます。抗核抗体の測定は膠原病のスクリーニングとして用いられることが多い検査です。しかしながら、病的意義がある抗体もない抗体も引っかけてしまう検査のため、抗核抗体のみで膠原病の診断がつくものではありません。
参照:
『関節リウマチ』(日本リウマチ学会)
『全身性エリテマトーデス』(日本リウマチ学会)
『多発性筋炎/皮膚筋炎』(PM/DM)(日本リウマチ学会)
『抗核抗体』(日本リウマチ学会)
膠原病の検査は何科で受けられますか?
膠原病の検査は一般内科や総合内科で受けることができます。しかし、膠原病の診断は自覚症状や診察所見と検査結果を総合的に判断して行われるため、専門的な知識が必要です。膠原病が疑われる場合は、診察や適切な検査の選択や結果の判断のために膠原病内科への受診が望ましいです。
膠原病の検査結果が出るまでにどの程度の時間がかかりますか?
膠原病の検査結果が出るまで、数日〜1週間程度を見込んでいただいた方がよいでしょう。総合病院であっても、膠原病に特徴的な免疫の異常を調べる検査は外部の機関に委託していることが多い傾向にあるため、即日結果がわかることはほとんどありません。検査の内容にもよりますので担当医にご相談ください。
膠原病の検査でわかること

血液検査ではどのような項目を調べるのですか?
調べる項目は疑わしい膠原病によりさまざまですが、大きく分けると次の3つを調べます。炎症の程度
臓器の異常の有無や程度
免疫の異常
炎症の指標として調べるのはCRPや赤血球沈降速度(ESR)です。身体の中でどのくらいの炎症が起きているかを把握します。
臓器障害の有無を確認するために、腎機能マーカーであるクレアチニンや肝機能障害を示すASTやALTなどの項目を調べます。赤血球や白血球、血小板数の減少といった血液そのものの変化も重要な手がかりです。
膠原病に特有の免疫異常をとらえるためには、抗核抗体や疾患に特異的な自己抗体(抗ds-DNA抗体や抗CCP抗体など)を測定します。
これらの結果は単独で判断するものではありません。症状やほかの検査所見と組み合わせて総合的に評価することが重要です。
画像検査は何がわかりますか?
膠原病により臓器や組織の炎症や損傷があるか、またそれがどの程度進んでいるかがわかります。例えば肺が線維化をおこして硬くなる間質性肺炎は、全身性硬化症や多発(性)筋炎/皮膚筋炎などさまざまな膠原病でみられる合併症です。胸部レントゲンやCTを行うことで、間質性肺炎があるのか、ある場合にはどの程度広がっているのかを知ることができます。さらに、時間をおいて繰り返し撮影することで進行スピードを知ることができ、治療方針の決定に役立ちます。
参照:『膠原病肺』(日本呼吸器学会)
尿検査の目的を教えてください
一部の膠原病において糸球体腎炎と呼ばれる腎臓の炎症を起こすことがあります。炎症を起こした腎臓からは、本来ろ過されないはずのタンパク質や赤血球、炎症により剥がれ落ちた細胞成分などが尿に出ていってしまいます。尿検査は尿にこのような異常な成分があるか、どのくらい出ているのかなどを調べ、腎臓の炎症の有無や程度を知るための検査です。参照:『腎臓検診でわかること』(日本腎臓学会)

