以前付き合っていた彼とのお話です。彼は私と違い、人混みやにぎやかな場所があまり苦にならない人でした。その価値観の違いは、デートの場所を決めるとき、悩ましい問題になることもあります。それでも当時は、お互いに譲り合うことができていたため、喧嘩に発展することはありませんでした。ところが、ある夜のデートで、私たちは大きな喧嘩をしてしまったのです。
サプライズで向かった先は
その夜、彼は行き先を明かさないまま、「少し遠いけど、一緒に行きたい場所があるんだよね!」と言って、車を走らせました。
数十分後、到着した場所を見た私は、思わず言葉を失いました。そこは、以前に私が「人混みが苦手だから行きたくない」とはっきり伝えていた、イルミネーションで有名な施設だったのです。
一方の彼は、「サプライズだよ!」と誇らしげに笑っていました。私とのやりとりを忘れていたのか、それとも自分が行きたい気持ちを優先したのかはわかりません。ただ、私は素直に喜ぶことができませんでした。
素直に喜べなかった理由
私は戸惑いを抱えたまま、ひとまず中に入ることにしました。彼は終始楽しそうに写真を撮り、私の手を引きながら歩いていきます。
イルミネーションはきれいでしたが、やはり人は多く、私は次第に疲れてしまいました。数時間後、車内に戻るころには、気持ちも体力もすっかり消耗していました。
そんな私の様子を見て、彼は「楽しくなかったの?」とひと言。私は迷いましたが、このまま黙っていても伝わらないと思い、勇気を出して本音を伝えることにしました。
「ここは人が多いから苦手だって、前に話したよね。こういうサプライズは、申し訳ないけど……私はあまりうれしくない」
そう伝えると、彼は何も答えずに車を発進させたのです。

