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【闘病】26歳で失禁と歩行困難。「将来寝たきり」を告げられた難病『後縦靱帯骨化症』の恐怖

【闘病】26歳で失禁と歩行困難。「将来寝たきり」を告げられた難病『後縦靱帯骨化症』の恐怖

後縦靱帯骨化症(こうじゅうじんたいこっかしょう/背骨の中を縦に通っている後縦靱帯と呼ばれる靱帯が骨化することで神経を圧迫し、感覚障害や運動障害などの神経症状を引き起こす病気)は、骨化する部位によって頚椎・胸椎・腰椎に分けられ、いずれも国の難病に指定されています。藤川さんは、中年以降に多いとされるこの病気を20代で発症しました。腰の違和感から始まった症状はやがて失禁や歩行困難へと進み、ヘルニアの手術を経てようやく後縦靱帯骨化症が判明。胸椎後方固定術(脊椎の後ろ側からネジや金属で固定する手術)、頚椎後方固定術と3度の手術を経験し、現在は経過観察とリハビリテーション(リハビリ)を続けています。藤川さんに発覚から診断、3度の手術、そして現在の活動までの経緯について聞きました。

※本記事は、個人の感想・体験に基づいた内容となっています。2025年12月取材。

藤川さん

体験者プロフィール:
藤川さん(仮称)

1995年生まれ、香川県高松市在住。母と祖父と同居。2021年に腰椎椎間板ヘルニアと診断され、その後、胸椎・頚椎の後縦靱帯骨化症が判明する。3度の手術を経て、現在は障がい者雇用で完全在宅のフルタイム勤務。月2回のリハビリと3カ月に1度の経過観察を続けながら、パラ卓球とeスポーツに取り組み、香川県内から後縦靱帯骨化症の情報をホームページや動画で発信している。

ヘルニアの神経症状が悪化、周りは見て見ぬふり

ヘルニアの神経症状が悪化、周りは見て見ぬふり

編集部

初めに、藤川さんが体の異変に気付いた時期と症状について教えてください。

藤川さん

2021年7月ごろから、腰に何かが刺さっているような痛みが急に出ました。4年前まで筋トレと社交ダンスを続けていたので「筋肉をつければ腰痛なんてどうってことない」と思い、痛みがあってもスポーツを続けていたんです。そんなある日、失禁が始まりました。「そろそろトイレに行こうかな」と思ったときには、もう出てしまって……。我慢しようとしましたが、後で分かったのは、神経症状の一つである膀胱直腸障害(ぼうこうちょくちょうしょうがい/脊髄や神経の障害により、排尿・排便のコントロールができなくなる状態)がすでに出始めていたということでした。
2021年9月、病院で腰椎椎間板ヘルニア(背骨の間にある椎間板の中身が飛び出し、神経を圧迫する病気)と診断されました。このとき手術を勧められましたが、麻酔が怖い、単純に手術が怖いという理由で保存療法と薬物療法を選んだんです。

編集部

その後、症状はどう進んでいったのでしょうか?

藤川さん

ヘルニアの重い神経症状が出ていたので、保存療法や薬物療法では改善されなかったんです。恥ずかしい話ですが、手術を回避して自力で治そうと思い、ネットで「ヘルニアの改善方法」などを調べまくってたどり着いたのが「温めたら治る」という情報でした(※自己判断による温熱療法は症状を悪化させる危険性があります。必ず医師の診断に従ってください)。
そして翌年(2022年)の1月、温泉に入った後、サウナに入ったときに事件は起こります。急に足に力が入らなくなったんです。床をはって外にいた母を叫んで呼び、どうにかサウナの外に引きずって連れ出してもらいました。車いすを用意してもらったものの、立ち上がることができません。「救急車を呼んでほしい」と母に頼んでも、「こんなごときで救急車呼ぶんはあほや!恥ずかしい! いつまでふざけとるんや! はよ立て!」と怒られるだけ。結局、1時間くらいかけて車いすに乗りました。母に理解されなかったのは、本当につらかったですね。早めに病院に行かなかった私も悪いですが、「あのとき、誰かが救急車を呼んでくれていたら」とずっと思っています。周りも見て見ぬふりだったので、見捨てられた気がしました。

編集部

後日、病院には行ったのでしょうか?

藤川さん

はい。事件の2日後、床にあったズボンを取ろうと前かがみになった瞬間、右足全体に力が抜けてしりもちをついて立ち上がれなくなり、今度こそ救急車を呼んでもらい、ヘルニアと診断された病院へ運んでもらったんです。立ち上がることも起き上がることもできないので、即入院でした。膀胱に尿がたまっており、おむつを着用しましたが、尿意も感じられず、出ているかも分からないレベル。看護師に「出し切った」と伝えてもまったく出ておらず、頑張って出そうにも出なくて、怒られた記憶があります。
その後、医師が2~3度訪れて手術を勧めてきたので、仕方なく手術を受けることにしました。神経症状や膀胱直腸障害という言葉を聞いたこともなかったし、ヘルニアは痛いだけだと思っていたので、あのときは「たかが腰痛で手術って」と甘く見ていました。入院から数日後に除圧術(神経を圧迫している部分を取り除く手術)を受けて、痛みは確かに取れましたが、リハビリをしても自力では歩けず、杖をついてもたどたどしく数mしか歩けませんでした。

もっと早く病院に行っていたら…

もっと早く病院に行っていたら…

編集部

術後、膀胱直腸障害は改善されたのでしょうか?

藤川さん

改善されませんでした。術後の後遺症で下半身のしびれが残り、膀胱直腸障害があまりにもひどくて、再び病院に行きました。そこで「骨化症かもしれない。でもうちの病院では診られない」と言われて、ほかの大きな病院に転院することになったんです。転院先で「後縦靱帯骨化症って立派な難病やね、受給者証とか障がい者手帳はもらっている?診断されたの?」と言われて、「もっと早くヘルニアが見つかっていたら」「もっと早く病院に行っていたら」「最初からここの病院を受診していれば」「救急車でここに運んでもらっていたら」など、いろんな考えが巡り頭の中が真っ白になりました。

編集部

転院先ではどのような治療を受けたのでしょうか?

藤川さん

腰痛はヘルニアが原因でしたが、胸椎にも問題があり、胸椎後方固定術(脊椎の後ろ側からネジや金属で固定して動きを抑える手術)を受けることになりました。術後はびっくりするくらい膀胱直腸障害が軽減されましたね。歩行困難などの後遺症は残ったものの、頚椎に関しても肩こりというか「首に何か刺さっているような痛み」があり、これは胸椎の手術をした後遺症だと勝手に思い込んでいたんです。でも、どうやら頚椎もだいぶ進行していたみたいです。そして2024年10月、頚椎後方固定術を受けました。
今は背中、ふくらはぎから下がしびれていて、歩行はロフストランドクラッチ杖(上腕部をサポートするカフと、手で握るグリップが付いている特殊な一本杖)があれば2~3mなら可能ですが、買い物や観光に行くときは車いすが必須です。

編集部

後縦靱帯骨化症は発見しづらいといわれていますが、診断までに複数の検査を受けたのではないでしょうか?

藤川さん

はい。CTやMRI、X線(レントゲン)など、複数の画像検査をしました。転院前の病院では「骨化症の疑い」と言われたので、本当に見つかりにくい病気なんだなと思いました。

編集部

藤川さんの場合、具体的にどのような状態だと医師から説明されましたか?

藤川さん

「(X線を見ながら)後縦靱帯が勝手に骨になって神経を圧迫して流れを止めている。だから失禁するし、手足もしびれているし、体幹が保てなくて歩行するのが不安定」とのことでした。また、「これだけ進行していたら、手術しないと将来寝たきりになる可能性があるから手術したほうがいい」と言われ、そんなに深刻なのかと思いました。頚椎についても胸椎の術後の経過観察で2回ほど受診しましたが、2回ともX線を見て「早めに手術したほうがいい」と伝えられました。

編集部

診断を下された瞬間の心境を教えてください。

藤川さん

笑い事ではないですが、説明を受けている最中に「何で勝手に骨を作ってんねん!」と突っ込んでしまいました。でも数日後には泣きじゃくっていましたね。「私、もうこれ以上動けないんだ、寝たきりになるんだ」と塞ぎ込みました。

編集部

治療中、何が一番つらかったでしょうか?

藤川さん

漠然とした不安を感じて、精神的な葛藤があったことです。後遺症により、日によって手足のしびれや痛みの感じ方が変わることもあります。あとは周囲の理解不足ですね。見た目では「しびれているのか痛いのか分からない」ので、周りからは「元気じゃん」「あの人手足が動くのに車いすに乗ってる」などと勘違いされやすいんです。

配信元: Medical DOC

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