「うつ伏せ」のメリットやデメリットとは?メディカルドック監修医が解説します。
※この記事はメディカルドックにて『「仰向け」「うつ伏せ」「横向き」どの姿勢で寝ると健康的?医師が徹底解説!』と題して公開した記事を再編集して配信している記事となります。

監修医師:
木村 香菜(医師)
名古屋大学医学部卒業。初期臨床研修修了後、大学病院や、がんセンターなどで放射線科一般・治療分野で勤務。その後、行政機関で、感染症対策等主査としても勤務。その際には、新型コロナウイルス感染症にも対応。現在は、主に健診クリニックで、人間ドックや健康診断の診察や説明、生活習慣指導を担当している。また放射線治療医として、がん治療にも携わっている。放射線治療専門医、日本医師会認定産業医。
「うつ伏せ」のメリット

うつ伏せには、気道が確保されやすくなる、お腹が圧迫されて自律神経や血流に変化が現れる、といったメリットがあります。
気道が確保されやすい
うつ伏せで寝ると、気道が物理的に開きやすくなります。舌や軟口蓋が重力で前方に落ち、気道の閉塞が起こりにくくなるためです。
軽度から中等度の睡眠時無呼吸症候群の方に対し、うつ伏せ寝の効果を調べた研究があります。その結果、睡眠中の血液中の酸素濃度が増加し、睡眠時無呼吸症候群の症状を軽減する可能性が示されました。ただし、全ての方に推奨されるわけではありません。
腸の蠕動運動を刺激する可能性
65歳以上を対象とした研究では、うつ伏せで寝ると、腹部への適度な圧力が自律神経の反射や血流の変化を起こし、腸の蠕動運動を刺激して消化を促進する効果があることが示唆されています。
ただし、これらは限定的な条件下での観察結果であり、高齢者にうつ伏せ寝を積極的に推奨する根拠は十分ではありません。また、高齢者では呼吸機能の低下や胃酸逆流のリスクが高まる可能性があるため、長時間の睡眠姿勢としては注意が必要です。
また、食後すぐにうつ伏せになると逆に胃酸の逆流を引き起こす可能性があるため、食事との時間間隔には注意が必要です。
生後1ヵ月以内の早産児の呼吸を安定させる
早産で生まれ、生後1ヵ月に満たない赤ちゃんは、呼吸状態を安定させるためにうつ伏せで寝かせる・授乳することを推奨される場合があります。しかし、一般的には、乳幼児突然死症候群の予防のために仰向けで寝かせることが推奨されています。
医療スタッフから特別に指示があった場合のみ、行うようにしましょう。
「うつ伏せ」のデメリット

うつ伏せでは、首や背中にかかる負担が大きくなるのに加え、呼吸がしにくくなることが指摘されています。
首や頸椎への負担が大きい
うつ伏せで寝ると、首や頸椎に負担がかかります。うつ伏せの姿勢は呼吸をするために顔を横に向けなければならず、頸椎が長時間ねじれた状態になるためです。
この姿勢が頸椎の自然なカーブを損ない、頸椎症や頸部痛の原因となることが指摘されています。また、長期的にうつ伏せ寝を続けて頸を痛めると、頸椎椎間板ヘルニアや神経根症のリスクが高まる可能性があります。
顔面や顎関節が圧迫される
うつ伏せで寝ると、顔面が枕に長時間押し付けられるため、顔の骨格や顎関節に不自然な圧力がかかります。顔に力がかかることで、うつ伏せ寝が顎関節症の原因の1つになる可能性が指摘されているのです。また、顔への圧迫によって皮膚のシワやたるみが形成されやすくなる、といった美容面でのデメリットもあります。
呼吸が制限される
うつ伏せで寝ると、自分の体の重さで胸郭(肋骨、胸骨、胸椎)が圧迫され、深い呼吸が制限される可能性があります。
特に肥満傾向のある方や高齢者では呼吸機能に悪影響を及ぼす可能性が指摘されています。

