たび重なる重大事故

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2007年、まだ子猫のときに「英国王室直轄領」であるジャージー島に引っ越してきた猫のOscar。当時から人懐こく温和な性格のこの猫は、同時に冒険好きでもありました。家の外をよく出歩いていたのです。
ところがある日、車に轢かれて尿路と尻尾に損傷を受けてしまいました。飼い主のMike NolanさんとKate Allanさんは、高額を支払ってOscarに皮膚移植を含む非常に複雑な手術を受けさせたのです。回復までには長い月日がかかりました。
ところが2歳にならないうちに、ふたたび車に轢かれてしまったのです。今回は股関節を脱臼しており、やはり高額な手術が必要でした。
2009年10月、Oscarが自宅近くの畑で日光浴をしていたとき、コンバイン農機具の刈り刃に巻き込まれて両後ろ足を切断されてしまいました。約1時間後に通りかかった女性が発見したとき、Oscarは大量に出血し、瀕死の状態でした。すぐに飼い主に連絡がいき、そのまま獣医へと運ばれたのです。
すぐに地元のPeter Haworth獣医が応急処置を施しました。しかし残った2本足だけでは、猫はうまく活動することができません。Oscarは「安楽死させられる可能性が高い」とだれもが思ったのです。
しかしPeterさんは、英国ロンドンからそう遠くないサリー州のNoel Fitzpatrick教授を紹介してくれました。教授は獣医で、義肢手術のパイオニアでもあります。彼の診療所にはMRIやリハビリ用プール、その他あらゆる近代的な獣医設備が備わっているというのです。
バイオニック猫の誕生

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Fitzpatrick教授は「これまで両足とも義足にしたペットはいないものの、この猫には希望がある」と感じ、手術が行われることになりました。ジャージー島から英国へと飛行機で旅立ったOscarは、特注のインプラントが切断された部分の骨に埋め込まれたのです。手術は3時間にも及びました。
挿入したインプラント部分が治癒すると、新しい義足が取り付けられて、Oscarは「バイオニック猫」に生まれ変わりました。
当初はゴム製のもので運動しやすいように設計されたものでした。しかし間もなくゴムと金属でできた、より長持ちする「ブレードランナー」型の義足に替えてもらったのです。この人工足は完全な屋外生活には適さなかったため、Oscarは毎日のほとんどを「室内猫」として過ごすことになりました。
Fitzpatrick教授の診療所で8ヵ月間を過ごしたOscarは、「初のバイオニック猫」としてマスコミに取り上げられ、人々の話題になりました。
手術後は定期的な検診が必要だったため、長い話し合いの末、英国とジャージー島を往復するストレスを与えるよりも、英国に留まるのが最善だと判断されました。そして教授の診療所でマネージャーを務めるMatt ConnorさんがOscarを飼うことになったのです。
ところが彼が借りている住宅の大家さんがペットを禁止したことで、事態は思いもよらぬ展開を迎えます。事故から2年近くが経過して、Oscarはジャージー島の元の自宅に戻りました。ここでOscarは猫らしい行動をすべてこなすことができ、健康状態も良好で、ごく普通の生活を送っていました。

