糖尿病で注意が必要な痛みのサインと対処法

どのような痛みが重症化のサインですか?
第1の危険なサインは、安静時に持続する激痛です。歩行時だけでなく、椅子に座っていたり夜間にベッドで横になっていたりするときにも足の先がうずくように痛む場合、下肢の血管が極度に狭窄または完全に閉塞し、重症下肢虚血に陥っている可能性が高いです。これは足の細胞への血流が完全に途絶える寸前の酸欠状態であり、早急に血管を広げて血流を再開させる治療を行わなければ、数日で足先から黒く壊死していく大変緊迫した状態です。
第2のサインは、急激な腫れと異常な熱感を伴う痛みです。昨日までは何ともなかった足の甲や足首付近が急にパンパンに腫れ上がり、手で触れると周囲の皮膚よりも明らかに熱を持っている場合は、小さな傷口から侵入した細菌が増殖して重症の感染症が急速に進行しているか、あるいはシャルコー関節による関節破壊の急性期を発症しているサインです。
第3のサインは、悪臭や大量の膿を伴う傷からの痛みです。足の裏の硬いタコの下や、靴擦れの跡から黄色や緑色のドロドロとした膿が出ていたり、腐敗したような強い悪臭が靴下に移っていたりする場合、傷の深さが表面の皮膚にとどまらず、奥底の骨や関節まで達して骨髄炎などの深部感染を引き起こしているおそれがあります。
第4のサインは、突然の冷感と変色を伴う激痛です。足の指先やふくらはぎに突然刺すような激しい痛みが走り、その後すぐに足全体が氷のように冷たくなり、血の気が引いて青白く変色していく場合、太い動脈に血栓が詰まる急性動脈閉塞のサインです。
糖尿病で痛みがなくても注意が必要なケースはありますか?
糖尿病の合併症が進行した状態においては、足にまったく痛みを感じないこと自体が、かえって重大な危険を知らせる赤信号となるケースが数多くあります。健康な方であれば強い痛みとして感知してすぐに対処できるはずの異常事態が、神経の障害によってマスキングされ、脳に危険の信号が届かなくなってしまうからです。
糖尿病で足が痛むときは何科を受診すればよいですか?
糖尿病による足の痛みや潰瘍などのトラブルは、血管の詰まり、神経の異常、細菌の感染、骨の変形、そして全身の血糖管理という複数の重大な要因が複雑に絡み合って発生しています。はじめにかかりつけの内科に相談するのはよいですが、近所のクリニックだけで根本的に解決することは大変難しく、専門的なチーム医療を提供する総合病院を受診した方がよいでしょう。近年、大学病院や地域の基幹病院では、さまざまな分野の専門家が連携して足の治療に集中的にあたるフットケア外来や足みまもり外来と呼ばれる専門チームを設けている医療機関が増えています。
日常生活でできるフットケアを教えてください
ご自宅で今日からすぐ実践できる具体的な方法には下記のようなものがあります。毎日の入念な観察
清潔を保つ洗浄
乾燥を防ぐ保湿
爪切り時の注意
正しい靴選びと免荷
裸足歩行の回避
1つずつ実践することで症状の悪化を予防できます。
編集部まとめ

糖尿病による足の痛みやしびれは、単なる筋肉の疲労や体調不良とはまったく異なり、神経障害、血流障害、そして細菌への感染のしやすさという3つの重大な要因が複雑に絡み合って引き起こされる深刻な病態を持っています。足の裏や指の付け根やかかとなど、歩行時に強い体重の負担がかかりやすい部位や、爪先のように心臓から遠く血流が滞りやすい末端の部位には、細心の注意を払う必要があります。
日常生活のなかでのご自身の足への小さな気遣いと専門家への早期の相談が、将来にわたって自分の足で歩き続けるための秘訣です。ご自身の足への関心を今日から高め、足をいたわるフットケアをぜひ習慣として始めてみてください。
参考文献
『糖尿病性足病変【症状と診断、フットケア】』(日本医科大学武蔵小杉病院)
『難治性皮膚潰瘍(足壊疽・下腿潰瘍)の原因と治療』(日本医科大学武蔵小杉病院)
『神経障害』(糖尿病情報センター)
『神経病性関節症(シャルコー関節)』(大垣市民病院)
『糖尿病足』(日本フットケア・足病医学会)
『合併症の早期発見のために』(厚生労働省)
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