親たちの前で晒し出される卑劣な本性。にげ場をうしなった茂樹に、聡美は「リナ」としてトドメのメッセージをおくる。驚愕する夫に突きつけたのは、「離婚届」と厳格な「誓約事項」だった。
両家は夫の素行に怒り心頭
沈黙が支配する個室の中で、紙をめくる音だけが残酷にひびいた。
「"妻とはレスで居場所がない"……茂樹、お前、聡美さんにこんなに苦労をかけておいて、何を言っているんだ!」
激昂した義父が机をたたいた。
「父さん、ちがうんだ! これはネット上のノリで…!」
「ノリで済むわけないでしょ!」
今度は義母が泣きそうな声で叫んだ。
「太陽くんが産まれた直後からこんなことを…。あなた、親としての自覚はないの!? もし事件にでもまきこまれたら、この子はどうなるの!」
私の父も母も、怒りにふるえている。
「茂樹くん、君を信じて娘をまかせたのに。うらでこんな卑劣なことをしていたとは…。聡美、よく今日までたえたね」
「お父さん…ごめんね。こんなかたちで打ち明けて。でも、どうしてもゆるせなかったの」
リナの正体を暴露
茂樹はまっ青な顔で、床にヒザをついた。
「…本当に、だれとも会ってない! ただのあそびだったんだ!」
「"だれとも会えなかった"のまちがいでしょ? 実際、会おうとして何度も場所を指定してたじゃない。ぜんぶ知ってるのよ。あなたが"リナ"っていう女の子と、今日、ここに来る直前までやり取りをしてたこと」
「え…?」
茂樹が目を見開いた。私は自分のスマホを取り出し、リナのアカウントで最後のメッセージを送信した。
茂樹のポケットの中で、スマホが「通知音」をならす。
" 目の前にいるわよ。シゲくん "
茂樹はふるえる手でスマホを確認し、絶望したように私を見上げた。
「聡美…お前、リナだったのか……?」
「あなたのきたない本音を、特等席で聞かせてもらったわ」

