50代半ばになり、人生経験もそれなりに積んできたと思っていた私。周囲から相談を受けることも多く、「人の力になるのは得意なほうだ」と感じていました。けれどある日、学生時代からの親友に言われたひと言で、自分の“親切”が相手にどう届いていたのかを思い知らされたのです。
親友の悩みに、力になりたいと思った私
50代半ばになった私は、これまでの人生経験から、多少のことなら落ち着いて受け止められるという自負がありました。周囲からも「しっかり者」と頼られることが多く、相談事を受けるのも得意だと思い込んでいたのです。
ある日の夕食時、学生時代からの親友であるAさんと話していたときのことです。Aさんは仕事と介護の両立に悩んでおり、ひどく疲れ切った様子でした。
私は彼女の力になりたい一心で、「こうすれば少しラクになるんじゃない?」「もっと周りに頼ってもいいと思うよ」と、次々に言葉をかけました。自分の経験も交えながら、少しでも励ましたいと思っていたのです。
静かに告げられた「親切の押し売り」
ところが、Aさんは突然、箸を置きました。そして私の目をまっすぐ見つめ、静かにこう言ったのです。
「あなたの親切は、ただの押し売りに感じる。私の話を聞いているというより、良いアドバイスをする自分に酔っているように見えるの」
その瞬間、周囲の音が遠のいたように感じました。全身の血が引いていくようで、私は何も言い返せませんでした。
Aさんは怒っているというより、ひどく悲しそうな顔をしていました。その表情を見て、私はようやく気付きました。良かれと思ってかけていた言葉が、彼女にとっては励ましではなく、さらに追い詰めるものになっていたのかもしれない、と。

