主導権は、私がにぎっている
茂樹は時折、不安そうな目で私を見てくる。
「聡美…いつか、また昔みたいにわらいあえる日が来るかな?」
私は太陽のクツをはかせながら、顔を上げずに答えた。
「さあ…それは今後の茂樹さんの"はたらき"次第じゃない?」
期待なんてしていない。でも、彼は一生、私のカゲにおびえながら生きていくことになる。
裏切りには、それ相応の代償が必要だ。
(スマホ一つでこわれるような信頼なら、最初からいらなかった)
私は今、かつてないほど冷静で、そしてつよい"母親"になった。
「行こう、太陽」
太陽の手を引き、私は玄関を開けた。
外の空気はおどろくほど澄んでいて、私の心はふしぎと「スカッと」はれわたっている。 もう、あのドロドロした"裏アカ"の世界におびえる必要はない。
主導権をにぎっているのは、私なのだから。
あとがき:こわれた信頼の先に
元通りのしあわせなんて存在しない。それをいさぎよく認め、夫を「ATM兼・共同養育者」とわり切る聡美の姿に、母としての強さを見ました。
信頼を裏切った代償ははかりしれません。愛と健全さをうしなったように見える夫婦の形ですが、聡美の目にうつる空は、ふしぎと澄みわたっていました。それが意味するのは、一人の女性としてのしなやかな強さと、本当の自由への第一歩なのかもしれません。
※このお話は、ママリに寄せられた体験談をもとに編集部が再構成しています。個人が特定されないよう、内容や表現を変更・編集しています
記事作成: ゆずプー
(配信元: ママリ)

