シェーグレン症候群(シェーグレン病)というと、目やお口の乾燥を思い浮かべる方が多いかもしれませんが、皮膚だけでなく爪や爪のまわりに変化が現れることもあります。爪がもろくなる、割れやすくなる、縦すじが目立つといった変化は、加齢や乾燥でもみられるため見分けが難しい一方で、目やお口の乾燥、皮膚症状、全身の不調などを伴う場合には、シェーグレン症候群との関連を考えることがあります。ここでは、シェーグレン症候群でみられる爪の変化やその原因、受診の目安、病院での対応を解説します。

監修医師:
副島 裕太郎(横浜市立大学附属市民総合医療センター リウマチ膠原病センター)
【資格】
日本内科学会 認定内科医・総合内科専門医・指導医
日本リウマチ学会 リウマチ専門医・指導医・評議員
日本リウマチ学会 登録ソノグラファー
日本リウマチ財団 登録医
日本アレルギー学会 アレルギー専門医(内科)
日本臨床免疫学会 免疫療法認定医
日本化学療法学会 抗菌化学療法認定医
日本エイズ学会 認定医
日本温泉気候物理医学会 温泉療法医・温泉療法専門医
日本骨粗鬆症学会 認定医
日本母性内科学会 母性内科診療プロバイダー
身体障害者福祉法第15条指定医(肢体不自由、ヒト免疫不全ウイルスによる免疫の機能の障害)
インフェクションコントロールドクター
博士(医学)
診療科目
一般内科、リウマチ・膠原病内科、アレルギー科、感染症科
シェーグレン症候群と爪の関係

シェーグレン症候群で爪に症状が出ることはありますか?
はい、あります。ただし、シェーグレン症候群では目やお口、皮膚の乾燥が中心で、爪の症状が主なサインになるとは限りません。一方で、乾燥の影響により、爪がもろくなる、割れやすくなる、表面がはがれやすくなる、縦すじが目立つ、黄みや緑がかった見た目になるといった変化がみられることがあります。こうした変化は乾燥や傷みやすさと関係して起こることがあり、爪の不調として気付かれる場合があります。
シェーグレン症候群でみられる爪周囲の変化について教えてください
爪そのものだけでなく、爪のまわりの皮膚や爪上皮が乾燥して荒れやすくなることがあります。具体的には、爪上皮が厚く乾いてささくれになりやすい、ひび割れやすい、乾燥してめくれやすい、爪のまわりに赤みが出るといった変化です。シェーグレン症候群では皮膚全体の乾燥や発汗低下がみられやすく、その影響が指先や爪周囲にも及ぶと考えられます。
爪の変化によってシェーグレン症候群かどうかはわかりますか?
いいえ、爪の変化だけでシェーグレン症候群かどうかを判断することはできません。シェーグレン症候群では、爪が乾燥してもろくなる、割れやすくなる、縦すじが目立つといった変化がみられることがありますが、こうした所見は加齢、手洗いや消毒の多さ、洗剤刺激、栄養状態、真菌感染、ほかの皮膚疾患などでも起こります。実際の診断では、目やお口の乾燥、涙や唾液の分泌低下、自己抗体、必要に応じた検査などを組み合わせて総合的に判断します。
加齢や乾燥による爪の変化とシェーグレン症候群による変化に差はありますか?
見た目だけでは、はっきり区別できないことも少なくありません。加齢や日常的な乾燥でも、爪の縦すじ、もろさ、二枚爪、割れやすさはみられます。シェーグレン症候群でも似た変化が起こりますが、違いを考えるうえでは、目やお口の乾燥、皮膚の乾燥、関節痛、だるさなど、ほかの症状が一緒にあるかが重要です。つまり、爪だけをみて見分けるというより、全身の症状も含めて考えることが大切です。爪の変化が気になる場合は、皮膚科で爪の状態をみてもらいつつ、乾燥症状や自己免疫疾患が疑われるときは内科やリウマチ科に紹介してもらう流れが一般的でしょう。
シェーグレン症候群でみられる爪の変化の原因

なぜシェーグレン症候群で爪に症状が現れるのですか?
主な理由は、乾燥しやすい体質変化と皮膚のうるおいの低下が、爪や爪のまわりにも影響するためです。シェーグレン症候群では、目やお口だけでなく皮膚の乾燥もみられやすく、皮膚の乾燥が強くなると、爪そのものももろくなったり、割れやすくなったり、縦すじが目立ちやすくなったりします。これは、爪を支える周囲の皮膚や爪上皮が乾燥して荒れやすくなることも関係しています。シェーグレン症候群では乾燥肌の訴えが多く、皮膚の乾燥が全身症状のひとつとしてみられます。また、爪の変化は乾燥だけでなく、炎症や皮膚症状の影響を受けることもあります。シェーグレン症候群では、湿疹のような変化、紫斑、血管炎による皮疹などがみられることがあり、指先や爪周囲の皮膚にこうした変化が及ぶと、爪まわりの赤みや荒れ、傷みやすさとして気付かれることがあります。つまり、爪だけに特別な異常が起こるというより、皮膚や指先の環境変化の一部として爪にも影響が出ると考えるとよいでしょう。
シェーグレン症候群で皮膚や血流に異常がみられる理由を教えてください
シェーグレン症候群は、免疫の異常によって全身に炎症が起こりうる自己免疫疾患です。そのため、涙腺や唾液腺だけでなく、皮膚や血管、神経などにも影響が及ぶことがあります。皮膚では乾燥が目立ちやすい一方で、血管の炎症である血管炎が関わると、紫斑や赤紫色の皮疹が出ることがあります。血流の異常という点では、シェーグレン症候群そのもので血流障害が前面に出るとは限りませんが、末梢の細い血管の変化やレイノー現象のような血流低下がみられることがあります。こうした変化があると、指先が冷えやすい、色が変わる、爪まわりの回復が遅いといった症状で気付かれることがあります。さらに、シェーグレン症候群では自律神経や発汗に関わる異常がみられることもあり、汗が減って皮膚が乾燥しやすくなることも、皮膚や指先の状態に影響します。

